民泊は今(下) 「簡易宿所」高まる関心 インバウンド関西

連続投稿になってしまいましたが、民泊関連の記事です。

(日経新聞2016年12月29日付けから引用)

大阪府(政令指定都市などを除く)で特区民泊の試みが始まって9カ月近くが経過したが、事業者からの申請はわずか4件。訪日客であふれる大阪市でさえ、ほぼ3カ月で8件にとどまる。事業者の注目は「簡易宿所」と呼ぶ従来の旅館業法の枠組みを活用した宿泊施設に集まっている。

京都では京町家を転用した施設が増えている

師走の京都。家族連れの外国人観光客が宿泊先に向かっていた。京町家の1棟貸しで家族水入らずだ。花街・宮川町の風情ある街並みも魅力。宿泊用の町家4軒を所有する不動産業の八清(はちせ、京都市)は「最近は欧米だけでなく、中国人客の利用も増え、稼働率7~8割と高水準」(西村直己専務)と話す。

この施設はカプセルホテルと同様、法律上は簡易宿所と位置付けられ、行政の許可を得て営業する。京都市は2012年、規制緩和の一環で、京町家を1棟貸しする場合に限り、施設のフロント設置を不要にした。京町家の活用を促す面もあったが、訪日客急増に伴う宿泊施設不足の解消に役立つと期待されている。

同市で16年度に新たに許可を受けた簡易宿所は10月末時点で15年度1年間の1.6倍の396件。うち町家の転用が3割を占める。16年4月には厚生労働省が旅館業法の政令を改正。簡易宿所は33平方メートル以上の客室が必要だったが、定員10人未満なら宿泊人数×3.3平方メートルで営業できるようになった。全国でも開業の動きが広がりそうだ。

では特区民泊に道が開かれた大阪はどうか。特区民泊の申請手続きに詳しい行政書士の雨堤孝一氏は「最近半年、大阪市内も特区民泊より簡易宿所に事業者の関心が集まっている」と明かす。

特区民泊は25平方メートル以上の居室で開業できる。マンション空室を活用できるが、「設置が定められた消防設備だけで追加投資が40万円ほど」(雨堤氏)。これに対し、注目されたのは二段ベッドを備えて見ず知らずの旅行客が相部屋で過ごす「ゲストハウス」と呼ぶ施設。簡易宿所の一種だ。

1泊からOK

民泊のコンサルティングを手掛けるシェアジャパン(東京・豊島)は大阪市内に特区民泊と簡易宿所を1カ所ずつ申請した。高橋延明社長は「簡易宿所は1泊から利用でき、特区民泊より収入が期待できるため優先して計画している」と話す。

一方、大阪府市は条例を改正し、6泊7日以上だった宿泊日数を1月から2泊3日以上に短縮する。12月に入り行政書士に相談する事業者も再び増え始めた。大阪市などで特区民泊を展開する「とまれる」(東京・千代田)の三口聡之介社長は「(宿泊日数が)短縮される前提で他社に先行して物件を押さえてきた」と意気込む。目標は大阪市中心部でまず100室程度を準備する。

20年の東京五輪も視野に、様々な形の訪日客の受け皿づくりが続く

(引用ここまで)

先日もブログに書いたように当事務所の近辺でも簡易宿所の建設が始まっています。この記事でも書かれていますが、やはり特区民泊は利用しにくいですね。

気になる物件をお持ちの場合はどちらが良いかを専門家に確認してみるのが良いと思います。もちろん当事務所でもどちらでも対応できるように準備は怠っておりません。

民泊は今(中)稼働6割 進む二極化 インバウンド関西

おはようございます。本日も民泊関係の情報です。

(日経新聞2016年12月28日付けから引用)

民泊は大阪観光局によると訪日客の17%が利用しており、ホテル(57%)に次ぐ。ただ、最近は施設間で稼働率に差が開いてきた。そうした中、値下げに踏み切る施設も相次いでいる。

大阪市都島区のある民泊。2015年12月には2LDKの部屋を1泊約2万3千円で貸していたが、現在は約1万7700円と2割値下げした。「競合が増え、閑散期になると料金を下げざるを得ない。民泊をやめる例も相次いでいる」(ある民泊代行事業者)

民泊データ分析のはりうす(東京・渋谷)の田村幸之介最高経営責任者は「民泊は今、人気の二極化が進んでいる」と指摘する。予約サイトでは評価の高い物件が優先的に表示されるため、部屋のデザインや利用者の評価の高い物件の稼働が高まっている。目立たせようと「自ら泊まってレビューを書いている事業者もいる」(大阪市内の民泊代行業者)。

民泊の貸し手の運営支援サービスを手掛けるメトロエンジン(東京・港)の田中良介社長も「ワンルームなど狭い間取りの物件数は減少傾向にある」と指摘する。はりうすによると大阪市内の民泊施設稼働率は平均すると6割弱にとどまる。9割前後のホテルとは対照的だ。

ここにきて他の民泊施設との違いを出せるサービスも登場。清掃代行を提供するグリップ(東京・港)はリネン業者などと組み、利用者が忘れ物をした場合に連絡などをするサービスを3月に始めた。これまでに250件以上と契約した。

綜合警備保障(ALSOK)では「民泊への警備サービスの問い合わせが今年に入ってから急増している」という。近隣住民とのトラブル対策のため、転貸可能な物件だけを選んで紹介する事業者も出てきた。システム開発のリーデックス(東京・渋谷)が運営する「Booken.jp」には現在、関西で数十件が登録しているという。

メトロエンジンでは11月、トラブル時のコールセンターや損害保険などをセットにした商品を民泊のホスト向けに発売。損害保険は三井住友海上火災保険が提供し、貸主と宿泊者、民泊の近隣住民が被る火災やケガ、盗難などの損害を最大1億円まで補償するもの。当初1カ月だけで数百件の契約があった。

ホテルや旅館より安いことで話題となった民泊だが、安さだけでは消費者をつなぎとめられなくなっている。今後、法整備が進み、行政が認可する「正規」の施設が増えれば、市場はより膨らむ半面、関連サービスにかかるコストはかさむ。単純な価格転嫁は難しいだけに淘汰の動きが広がる可能性はある。

(引用ここまで)

乱立気味ではあったが、一部で淘汰が始まっている感じですね。稼働率・値引き・保険など費用増加を考えると適正な場所や規模である民泊に落ち着きそうです。

商業地に隣接した中古アパート一棟をすべて民泊専用に改装するなどが狙いめと思っています。

民泊は今(上)日数規定見直しへ 大人数の利用多く

おはようございます。正規の民泊が増加しないという記事を引用しておきます。

(日経新聞2016年12月27日付けから引用)

住宅の空き部屋を有料で旅行者に貸し出す民泊。国家戦略特区の大阪では条件付きで認められているが、1万1千件以上あるとされる大阪市内で実際に許可を得た物件は1%に満たない。ルールの整備が遅れるなか、需要が急拡大し、現状はインバウンド(訪日外国人)の2割弱が利用している。「正規」の民泊がなぜ増えないのか。利用実態などから探った。

(中略)

記者はエアビーで予約するため顔写真や個人情報を登録。その後、貸し手から住所、家電の使い方などを説明した文書がメールで届いた。

チェックインは午後4時から午前2時まで。記者は4時半に着いた。指示に従いダイヤル式の郵便ポストを開け、鍵を取り出す。数字のボタンを押すとオートロックの扉が開いた。部屋には幅1.5メートル、縦2メートルのベッドが3台とテレビなど家電も備わっている。Wi-Fiもつながっていた。

外出して戻ると入り口付近をうろつく男性がいた。声を掛けると上海から来た賈敬濤さん(30)で同じマンションの部屋に宿泊する予定だという。だが予約券にマンション名が記されておらず、貸し手と連絡が取れずに困っていた。民泊運用代行会社のグラップ(大阪市)によると「民泊の二大トラブルは清掃とチェックイン」という。緊急連絡先に電話してポストの番号を聞き、鍵を取り出してあげた。

賈さんは両親、娘、姉夫婦の計6人で記者と同じ広さの部屋に泊まる。民泊の利用は初めてといい、料金は1人当たり3千円程度。「ちょっと狭いけれどネットも使えて部屋もきれい」という。

アジアからの旅行客は大人数の家族連れやグループが多い。複数の部屋を取らなければならないホテルよりも割安な民泊に流れているようだ。民泊データ分析のはりうす(東京・渋谷)によると大阪市内の民泊の約6割が定員4人以上という。

記者が泊まった部屋は大阪市から民泊運営の許可を得ていない物件だった。市では滞在が6泊7日以上などの条件を設けているが、訪日客のニーズとは合っていないようだ。賈さん一家は大阪、京都、名古屋を7泊8日で巡る計画。大阪観光局の調査でも大阪の平均滞在日数は3.9日だ。

周辺住民との調整という条件も事業者に申請をためらわせる。中央区のある飲食店店主は「この辺りのマンションは外国人の民泊利用が多く、騒音などのトラブルが多い」と話す。「規制は必要だと思うが、条件とする住民理解を得ることは不可能」(ある仲介事業者)との声もある。無許可営業の民泊は旅館業法違反として刑罰の対象になる恐れがある。

2020年の東京五輪に向けて訪日客はさらに増える見込み。既に不足状態のホテルや旅館だけで受け入れるのは困難だ。そうした中、大阪府・市は1月から滞在日数の条件を2泊以上とするなど実態に合わせようとしている。健全な民泊市場を育成するには行政、事業者、利用者、周辺住民それぞれが納得できるルール作りが急務だ。

(引用ここまで)

つまり、宿泊日数と近隣住民の理解が実態と合わないことが大きな理由ですね。宿泊日数の短縮はいいとしても住民理解はやはり必要だと思います。当事務所の近辺(新大久保駅の近くではあるが、住宅街の路地少し入ったところ)でも旅行者がスーツケースをがらがらと引きながら歩いているのをよく見かけます。家族連れなど通常の旅行者だと分かればいいのですが、最近は家族連れのテロリストもいることだし、少し怖い印象を受けることも事実です。またそこまでいかなくても深夜早朝に民泊の前でたむろし、タバコを吸っている(新宿区全域は路上禁煙です)のを見ると、マナーを守れない旅行者に対してどうしても印象が悪くなることは否めません。

新大久保近くで、大久保通りに面したところに少し大きな規模のビルが建設中です。工事の内容を確認すると簡易宿所となっているので、こういった方向に流れるのかもしれません。

民泊営業、年180日を上限に 違反なら業務停止も

おはようございます。久しぶりに民泊の記事を引用します。

(日経新聞2016年12月4日付けから引用)

国土交通・厚生労働両省は住宅に旅行者を有料で泊める民泊の年間営業日数の上限を年180日とすることを決めた。違反すれば業務停止命令などの行政処分の対象となる。来年の通常国会に提出する新法に盛り込む。旅館やホテルに一定の配慮をしつつ、法的に住宅とみなせる上限の日数の営業を認め、訪日客の受け皿にする。

各国の民泊営業日数を巡る規制

日本(新法) 年180日以下なら自治体への届出で可能
英ロンドン 年90日以内なら許可不要
仏パリ 部屋の持ち主が年8ヶ月以上住んでいれば自治体に届出不要
独ハンブルク 部屋の持ち主が年4ヶ月以上住んでいれば許認可を得て可能
蘭アムステルダム 年60日以内で近隣の同意があれば許可不要
米ニューヨーク 共同住宅で居住者がいなければ30日未満の短期滞在は違法

新法は民泊の基本的なルールとなる。営業日数の規定のほか、住宅を提供する人は自治体への届け出、仲介サイトは観光庁への登録を義務づける。マンションの一室など家主が住んでいない部屋を提供する場合には、管理業者の登録も求める。

営業日数を巡っては民泊に顧客を奪われることを懸念する旅館業界が「年30日以下に」と主張。民泊参入をめざす不動産業界からは営業日数が少なくては採算が合わないとして「制限なし」を求めていた。

これに対し、国交・厚労両省が180日と決めたのは、営業日数が180日を超えると、住宅とみなすのが難しくなり、税制などの扱いを変える必要が出てくる可能性が高いためだ。

ただ営業日数の定義はなお解釈が分かれている。旅館業界はあらかじめ設定する営業期間の上限としているのに対し、不動産業界は、実際に客を受け入れた日数だと主張している。

諸外国でも民泊の営業日数を規制している例はある。観光庁によると、英ロンドンは年90日以内、オランダ・アムステルダムでは年60日以内だ。

既存の旅館やホテルは住宅地で営業できない。新法では住宅地も含めて民泊の営業が可能となるため、自宅や賃貸マンションの一室を民泊に転用する動きが広がりそうだ。ただ、家具をそろえる費用や掃除など管理コストを考えると、年180日の営業でも採算を見込みづらいとの声がある。

日本政策投資銀行は2020年に訪日客が4000万人に増えた場合、東京都内で1880万人分の宿泊施設が足りなくなると試算する。個人が保有する資産を活用したシェアリングエコノミーを通じ、観光資源の多様化やホテル不足の解消につなげる。

(日経新聞同日付け別記事引用)

マンションや戸建て住宅の空き部屋を旅行者に有料で貸し出すサービス。インターネットを通じて、モノやサービスを個人間で貸し借りするシェアリングエコノミーの代表格の一つだ。仲介サイト大手の米エアビーアンドビーは2008年に設立され、日本を含む世界191カ国・地域で事業を展開している。

日本では民泊に対応した法律がなく、有料で宿泊者を泊めるには旅館業法の許可が必要だ。旅館やホテルは原則として住宅地で営業できず、衛生基準も厳しい。政府は4月に旅館業の一種である簡易宿所の規制を緩和。国家戦略特区では2泊3日から民泊を認めた。ただ、地域が限定され使い勝手が悪く、依然として多くの違法な民泊が放置されている。

観光庁と厚生労働省が設置した有識者検討会が民泊のルールづくりを進め、6月に報告書をまとめた。戸建て住宅の一部を貸すような「家主居住型」と、賃貸住宅の一室を提供するような「家主不在型」に分けて、届け出や登録で民泊を始められる仕組みを提言した。もっとも民泊を警戒する旅館業界と前向きな不動産業界の利害が対立し、臨時国会への法案提出が見送られた。

(引用ここまで)

年間180日の営業ということは、だいたい半分ですね。実際の所どういう使い方が多いのか分かりませんが、1泊(2日営業)あるいは2泊(3日営業)するという使い方が多いのでしょうか。大家側としては使用した後は1日間を開けて、また使用する使い方が取れなくなりますね。

民泊を運営している大家さんの話だと、だいたい賃貸で出すより2倍程度の収益があるようですが、営業日数を絞られると厳しくなることは予想されます。管理者を登録するというスキームもハードルが高そうです。

マンションに民泊の可否明示促す 国交省が規約文案

おはようございます。本日も民泊関係の情報です。

(朝日新聞デジタル2016年10月27日から引用)

空き部屋に旅行者を有料で泊める「民泊」の広がりを受け、国土交通省はマンションの管理規約に民泊の受け入れの可否を明示するよう促すことを決めた。規約の文案をつくり、近く業界団体などに通知する。民泊ではゴミ出しや騒音を巡るトラブルも多いことから、あらかじめ規約で可否を決めておく必要があると判断した。

日本を訪れる外国人観光客が増え、宿泊施設が不足しているため、政府は民泊を国家戦略特区で旅館業法の適用外として認めることにした。今年2月から運用が始まり、東京都大田区と大阪府の大東市など4市で今月11日までに28施設(83部屋)が参加、利用者は297人となっている。政府は31日から民泊で条件としていた「6泊7日以上」を「2泊3日以上」に緩和し、さらに利用を促す。大阪市や北九州市も参入を予定。政府は来年の通常国会に、全国で民泊を認める新法案を提出する方針だ。

だが、多くのマンション管理組合がひな型として使っている国交省作成の「標準管理規約」には民泊に関する記載はない。現在の規約で民泊が可能か、識者らの見解も分かれている。

許可を受けていない違法民泊も横行し、宿泊者の騒音やゴミ捨てのマナーの悪さなどからほかの住民ともめるケースも多かった。

そこで国交省は、部屋を「民泊に使用できる」「できない」の2通りの管理規約の文案を作成。近くマンション管理や不動産の団体、全国の自治体に通知し、規約での可否の明示を求めることにした。国交省はまずは特区内のマンションに管理規約の変更を勧めるほか、特区内のマンションを販売する不動産会社にも、民泊を認める物件か明示することも求めていく方針だ。

国交省幹部は「民泊をやりたい人もやりたくない人も納得して暮らせることが重要」と話している。

(引用ここまで)

規約を定めるのを勧めていくということですが、既に民泊を認める認めないは置いておいて、民泊に関心が高い住民がいるマンションは規約の変更に動いていることと思われます。

問題は、管理組合の動きが消極的で、すでに民泊の部屋(アングラで始めている部屋)を抱えているマンションの場合です。どうなるんだろうという疑問が湧きます。すでに民泊開始している部屋と、ダメだという住人が対立することは明かですので、数の論理で「認めない」という結論に達することもあり得るわけです。こうなると民泊部屋のオーナーはどうするんでしょうか。もともとの規約に則って判断されるんでしょうが、弁護士の先生も呼ぶことになってやっかいなことになるかもしれません。

大阪市、民泊「安全安心」確保急ぐ 条例を10月末施行

おはようございます。久しぶりに民泊の記事を見つけたので引用してみます。

(2016年10月26日日本経済新聞から引用)

国家戦略特区内で、一般住宅の空き部屋などに観光客らを有料で泊める「民泊」を認める大阪市条例が31日、施行される。急増するインバウンド(訪日外国人)向けの宿として利用が期待され、11月中旬にも実際に宿泊可能となる見通しだ。市内には旅館業法に基づく許可のない「違法民泊」もあふれており、市は専用の通報窓口を設けるなど無許可業者に目を光らせる。

(中略)

特区内での民泊は東京都大田区、大阪府に続き3例目で、大阪市ではほぼ全域が対象。一定の条件を満たせば旅館業法の許可は不要で、約2週間の審査を経て認定されると宿泊可能となる。

フロントの設置義務がないといった利点があり、池田市の不動産会社社長(36)は「民泊を運営するなら需要が見込める大阪市と決めていた。海外客の多い北区と中央区で3部屋を申請したい」と話す。

ただ、インターネットを通じて非合法に旅行者に部屋を貸すケースも増えている。仲介サイトには旅館業法の許可を得た業者の物件を含め市内の約1万件が登録されているが、市は「多くは許可のない違法営業」(生活衛生課)とみる。「違法ではないか」「スーツケースを持った外国人が頻繁に出入りしている」など住民の苦情なども相次いでおり、今年4~9月は323件と昨年度の184件から急増した。

住民とのトラブルを防ぐため、市条例は事業者に対し、民泊開設の事前説明や苦情窓口の設置を義務付ける。市はさらに、条例施行に合わせて担当職員を22人増員し、違法民泊の通報窓口も開設。市民の情報を基に現地調査し、問題があれば営業中止などの行政指導を行う。

吉村洋文市長は25日の市議会本会議で「指導に従わない場合、警察に告発するなど厳しく対処する」と強調した。

今年4月に特区民泊が始まった大阪府では、職員が仲介サイトの検索や府民からの通報などで情報収集している。所在地を把握できた施設に立ち入り調査し、昨年4月から今年9月までに違法営業を確認できた23施設に営業をやめさせた。

現地調査しても部屋番号が確認できないことや、運営者が判明しない例もある。府の担当者は「物件の多くは大阪市内にある。府と市で住民の通報窓口を一本化するなど、違法営業を根絶できるような対策を協議したい」(健康医療部)としている。

(引用ここまで)

この記事でもわかるように、やはり民泊の中心は都心部です。観光客はどうしても便利な都心部に集中するので、大阪府以上に苦情や問い合わせなども多くなりそうですね。きちんとしたルールに従って許可をとっている方が損をするのはよろしくないですし、なによりも近隣の住民が迷惑することになりますので、違反者には厳しく処罰するというのは頑張って欲しいところです。

民泊「2泊からOK」に備え 大阪、企業や地銀に商機

おはようございます。最近民泊関連のニュースが少なくなってきていますが、ぽつぽつと更新されているようです。今回も気になった記事がありましたので引用しておきます。

(日経新聞2016年8月25日付けから引用)

国内外の旅行者にマンションや住宅の空室を有料で泊める「民泊」が大阪府の特区で認められた。今秋に大阪市内の特区でも始まり、政府は全国で民泊を認める新しい法律も準備している。届け出ていない違法の民泊がはびこる中、合法的に事業を進める企業が激戦の大阪に挑む。

 主な合法民泊  特徴 課題
 特区民泊 東京都大田区、大阪府などの国家戦略特区で2016年開始、条例に基づき許可がいる 宿泊日数が6泊7日以上で、使いにくい
 簡易宿所  旅館業法が2016年4月緩和され、宿泊者数10人未満の施設なら宿泊者1人あたりの面積3.3㎡で民泊として利用可能。同法の許可が必要 自治体によってフロント設置義務づけ
 新法民泊 政府が年内にも新法を提出、簡単な届け出や登録で住宅を提供可能 年間営業日数を180日以内に制限する方向

民泊予約サイト運営「とまれる」は4月、大阪府の国家戦略特区で条例に基づく関西初の民泊を大東市内のマンションで申請し、認められた。受け付けを始めて4カ月が過ぎたが、実はまだ一度も利用されていない。

(中略)

気にするのは、旅行者が同じ民泊に「6泊7日以上」泊まらなければならない宿泊日数の規定だ。「この規定の影響が大きい。日本に6泊以上滞在する外国人客は多いが、大阪で6泊以上となると極端に少なくなる」と話す。

このため内閣府に特区制度の改善を求めており、政府が年内にも「2泊3日以上」に短縮する方針を打ち出したことを歓迎した。10月に大阪市内でも条例が施行され、特区民泊が認められるのと併せて大阪での合法的な民泊ビジネスの拡大に期待を寄せる。

大阪市内での合法的な民泊ビジネスには他社も注目している。

(中略)

アパマングループが管理する賃貸住宅は大阪市内に2400戸あり、空室になって家主が了解すれば、特区で民泊利用を検討する。

「自宅で犬を飼い始め、遠出の旅行をしなくなった」と笑うが、大阪市内のホテルが予約しにくい現状はよく理解している。「『とまれる』さんが先行しており、当社は特色を生かして事業を進めたい」と言い切る。

とまれるの親会社、百戦錬磨(仙台市)にファンドを通じて4月に出資したのは池田泉州銀行、阪急電鉄、南海電気鉄道など。地域経済に密着した3社は関西圏での民泊事業の展開を支援する。

大阪市内の特区民泊は駅に近い立地が利用されやすいとみて、駅周辺の情報に詳しい鉄道会社と協力関係を結んだ。府内での大規模イベントに伴うイベント民泊にも関心を示す。

事業者の民泊への関心が高まるにつれて、民泊の申請手続きなどを行政書士に相談する例も増えてきた。大阪府行政書士会の事業部副部門長で民泊を担当する雨堤孝一(38)は、同業者による民泊ビジネス相談の研修をしている。「法律に沿って事業者が手掛けたい民泊に最もふさわしいタイプを紹介できるようにしたい」と願う。

三口も大山も将来、民泊を大量に申請することになれば、手続きを行政書士に依頼するかもしれないと話していた。行政書士は民泊ビジネスを支援する一員になりつつある。

(引用ここまで)

現在の所、東京でも大きな動きは見られません。法改正があれば少し動きが出てくるのではと期待しております。ただ住民側の意見も取り入れなければならず、ビジネス中心とはなかなか行かないとは思います。

民泊、特区で2泊から容認 政府、地域拡大へ試行

おはようございます。民泊に関する記事が出ましたので紹介します。

(日本経済新聞 2016年8月5日から引用)

政府は国家戦略特区で一般住宅に旅行客を有料で泊める民泊を短期滞在客向けにも解禁する方針だ。同じ住宅に6泊7日以上滞在する客に限定した日数要件を今秋にも2泊3日以上に短縮する。特区以外ではホテルや旅館が技能実習制度を通じて外国人をより活用しやすくするなど規制緩和を検討する。

特区では2014年4月に旅館業法の適用を外し、訪日客向けの民泊を認める制度を設けている。これまでに東京都大田区で17施設、大阪府の大東市と門真市で2施設が認定を受けた。10月をめどに大阪市も解禁するほか、千葉市と北九州市も関連条例を制定し、民泊事業を認める。

民泊の事業者から見れば「6泊7日以上」という宿泊日数の要件は参入障壁となっている。東京や京都など国内を周遊し、1都市の滞在日数が数日にとどまる客には長期滞在を条件とする今の制度は使い勝手が悪い。

政府はこの要件を緩める。関連する政令を改正し、最短で2泊3日の利用を認めて、短期滞在者にも開放する。民泊事業を手掛ける個人や企業は空き家の稼働率を高めやすくなる。

特区での需要動向や問題点などを見極めたうえで、全国で通用するような法整備を検討する。

民泊にはホテルや旅館業界の反発が根強い。このため、政府は訪日客受け入れ体制の整備という観点でホテルや旅館への規制緩和も検討する。外国人の技能実習制度や在留資格の要件を緩和して、外国人スタッフを活用しやすくする方策を探る。無許可の営業に対する罰則の強化も視野に入れる見通しだ。

(引用ここまで)

無許可に対する罰則がどのようになるのか、どうやって適用させるのかがとても興味があります。それ相応の人手がいるので、なかなかうまくはいかないのではないかとも思います。

民泊、一瞬でブーム終了 違法業者跋扈&摘発続出、呆れた実態

こんにちは、久しぶりに民泊関連の記事があったので引用しておきます。

(Business Journal 2016年7月29日配信から引用)

4月から旅館業法に基づく合法的な営業が認められたはずの民泊だが、許可権限を持つ自治体の条例などが壁になり、違法営業が横行している。

外国人観光客向けの宿泊施設(民泊)を無許可で営業したとして、警視庁下谷署は7月13日、ジャスダック上場のピクセルカンパニーズと、その子会社で民泊の運営会社、ハイブリッド・ファシリティーズ、また両社の社長ら計6人を旅館業法違反(無許可経営)の容疑で書類送検した。

ハイブリッド社は、自社で借り上げた物件で民泊運営者を募り、清掃業者の手配や宿泊者の募集などを代行するサービスをやっていたが、それなりの手応えがあったことから今年2月、本格的に民泊業務を開始した。

しかし、台東区は国家戦略特区に認定されておらず、旅館業法の許可を得ずに民泊を運営することは禁止されている。ハイブリッド社の社長は「許可を取ろうとしても取れないと思った」と供述し、見切り発車であったことを認めた。5月に保健所が書面で営業をやめるように注意したが従わなかったため、警察が摘発に乗り出した。

国が4月に民泊を旅館業法の「簡易宿所」として許可制にする政令を施行して以降、都内での摘発は初めて。上場会社が無許可営業で摘発されたのも初めてだ。

(中略)

自治体の規制が厳しく、そう簡単に簡易宿所の認可は取れない。無許可運営をし、万一バレても書類送検だけで済む。それならば、バレるまで営業を続けたほうが得というソロバンを弾く輩が後を絶たない。かくして無許可民泊が横行することになる。

●年間営業日数の上限が決まらず

民泊解禁の行方に黄信号が灯った。政府は民泊解禁に向けたルール案をまとめたが、関係者の利害の対立から、年間営業日数の上限が決まらない。

旅館業界は、民泊の営業日数を年30日までに制限するよう主張する。一方、民泊を有望なビジネスと考えている住宅業界は「日数制限があるなら、参入は不可能」と真っ向から対立している。

6月に規制改革会議が出した「180日以下の範囲内で適切な日数を設定する」という結論は、双方の意見の間を取ったものだが、推進派も規制を厳しくすべきだと考えている旅館業界も納得していない。

旅館業界に影響力がある自民党生活衛生議員連盟の会長は伊吹文明・元衆院議長だ。伊吹氏は「規制緩和の前に、まず取り締まりから始めなくてはならない」と述べた。ヤミ民泊の存在を問題視した発言と受け止められている。

民泊は安倍晋三首相が規制緩和の目玉として打ち出したものだが、このままだと秋の臨時国会に法案を提出できないのではないかと言われ始めている。

(引用ここまで)

民泊関係の記事も最近は少なくなってきて、ブームは去ったのかという感じですが、やはり問題が多くて進んでいない印象です。闇民泊はあちこちに乱立しているようですが、記事にもあるようにバレるまではやり続けるという感じなのでしょうね。

民泊新法、提出を前倒し

おはようございます。民泊についての新しい情報がありましたので、引用しておきます。

(日本経済新聞2016年6月26日から引用)

政府は住宅の空き部屋などに旅行者を有料で泊める民泊をほぼ全面解禁する新法の前倒し提出を検討する。来年の通常国会に提出する方針だったが、官邸側が関係省庁に今秋の臨時国会への前倒しを指示した。秋に成立すれば年内にも規制が緩和される。政府は2020年までに訪日観光客数を年4000万人に増やす目標を掲げており受け入れ態勢の整備を急ぐ。

民泊の新法を巡っては、観光庁と厚生労働省の検討会が今月、運用上のルール案をまとめた。民泊を旅館やホテルとは別のサービスと位置づけ、簡単な届け出や登録で住宅を提供できるようにする内容だ。

ただルール案では民泊の年間の営業日数を「180日以下の範囲内で設定」とするなど、旅館業界などとの利害対立が強い部分を先送りしている。調整が難航すれば、法案の策定作業が秋に間に合わない可能性もある。

(引用ここまで)

イギリスがEU離脱を決定しました。離脱に傾いたのがはっきりし、急激な円高と株安が日本市場を襲っております。

民泊について政府は積極的に広げたいようですが、この円高がどの程度続くのかによって外国からの観光客数は変わってくると思いますし、民泊に対する議論も変わってくるかもしれません。