春の陽気!

 おはようございます。今日も暖かい。ここ数日春のような陽気で、着るものに困ってしまいます。昨日も4月後半くらいの感じやったけど、今日はさらに気温が上がるとか。前線がちょうど上空にあるらしく、東京は高気圧側にあるから暖かいが、低気圧側になると大雪。そのまま春になってくれたらええんやけど、明日から前線が南下してきて気温は急降下するとか・・・。

 さて、株主総会の不存在確認訴訟っていうのがある。受験生なら取り消し、不存在、無効とそれぞれの違いを学習するが、まさにそれ。実際に自分のところにそういう案件が来るとは思ってもみなかったけど、ひょんなことから少し足を突っ込むことになった。

 勝手に株主総会を開いて取締役を選任した会社があり、その関係者からの相談がきっかけ。法務局に変更登記申請の添付書面の閲覧方法を確認したことから始まったんやけど、閲覧のハードルが結構高い。訴訟案を添付しろとなってて、それを法務局側で審査してからになると。しかもその結果閲覧不可ということもあるとか。なんというかやったもん勝ちにならへんか心配になるくらい厳しい。

 司法書士は簡裁の代理権はあるけど、地裁の代理権はないし、そもそも相談に応じることもできん。上記案件は地裁案件やし、訴額も総会の決定事項1項目について160万円らしく、訴額からしてもオーバーしてる。訴状を作成するんはええとしても、相談にならないようにするって結構難しいし、正直弁護士にお願いしたいなと思ってた。

 実はその方、別件で弁護士に依頼しているのがあるらしいので(まぁ株主総会を勝手に開くような人が相手やから、別訴があってもおかしくないわなぁ・・・)、正直その弁護士に依頼してくださいという感じやったんやけど、その弁護士とお話ししたところ、訴状の作成はお願いしたいと。ということで、訴状の案を作成し、弁護士に確認していただくということで対応することにした。つづく

合同会社の業務執行社員の辞任

 おはようございます。1月も折り返しを過ぎていよいよ後半に突入です。めちゃくちゃ早く感じますね・・・。

 さて、今日は合同会社の「業務執行社員」のお話。最近の会社設立はほとんど合同会社っていうのは少し前に書いた気がするが、設立したらお仕舞いってこともなく更新されていきます。株式会社同様に役員が入れ替わったり、目的が追加されたり、本店が移転したり。そんななか、業務執行社員を辞めたいというお客さんがいます。

 うちの事務所は入管を取り扱っている関係上、どうしても外国人の法人が多いんですね。経営管理のビザを取得するのに500万円の出資がどうのこうのっていうのは有名で、個人的には最低資本金額が低すぎるような気がしてて、なんでもかんでも「海外では~」と叫ぶ人もここはまったくスルーしてんのが不思議なんやけど・・・。とにかく500万円を資本金として出資したらビザがおりることになってる(おカネの出所とかの問題があるんで、ホントに設立したい方はどうぞ専門家にお聞きください)。

 そこまではまぁいいとして、問題は、他の在留資格で日本に滞在しているのに、業務執行社員に名前を加えてしまう人がいるってことなんです。簡単に副業したいから会社作るって思うんやろうけど、これが問題ってことに後になって気づき、執行者から外してくれっていうことになる。そもそも外国人やから、自分で定款を作ったってことはほぼなく、ほとんどが行政書士が絡んでんやけど、なんで最初にそういうこと指摘せぇへんねやろ・・・。

 前置きが長くなったけど、業務執行社員からただの社員にするという結構シンプルなケース。実はこれなかなか難しいんよね。僕が使ってる業務ソフト「権」では、そもそもそういうケースに対応してないみたいで、自分で申請書を作らんとアカンし・・・。

 いろいろ調べたところ、業務執行権の指定解除と、業務執行社員の辞任というが当てはまりそうということがわかってきた。業務執行社員は会社と委任関係ではないので、辞任というのが当てはまらなそうなんやけど、会社法591条4項に「正当な事由があれば辞任できる」ような記載があるから辞任できると捉えていいようです。定款の変更となるため、総社員の同意書も必要になりますね。どちらか一つでいいように思うけど、実務上両方揃えるようです。

株式交付制度ってなに!

こんばんは。今日は寒いですね。明日は雪が積もるとか積もらないとか予報が出ていますが、どうなるんでしょうか。研修もあるので交通機関が乱れないことを祈っていますが・・・。

さて、研修期間中に支店の登記がなくなるとかなくならないとかいうお話がありましたので、このお休み中少し調べていたところ、とても気になる記事がありました。2019年12月4日に、参議院本会議で可決され成立した会社法改正案(早ければ2021年6月頃までに施行)の株式交付制度(改正会社法774条の2~774条の11)です。公布日から1年半で施行されるとのことです。

自社の株式を対価として他の会社を子会社化する手段として株式交換の制度があるが、完全子会社化する場合でなければ利用できません。完全子会社化することを予定していなくても、子会社化するにあたって、自社株を他の株式会社の株主に交付することができる制度のようです。

改正案をよく読んだわけじゃないのですが、ただでさえ難易度の高い組織再編にさらにもう1種類加わるということに興味がわいてきます。受験生にとっては試験対策が大変になりますよね。

その他の改正点としては株主総会書類の電子提供というのが実務的に興味がわきます。いままでは個別の承諾が必要だったのが、そうではなくなったということです。試験対策的にも重要な気がします。

また監査役会設置会社とか公開大会社での社外取締役の設置義務ですね。択一も記述式問題も要注意の改正点です。

さらに最近試験員が好きそうな社債の管理機関の仕組みの創設があります。社債管理者の置かれていないケースで設置義務がありそうです。これは試験対策もさることながら実務でも対応が必要になってきそうです。

新株予約権に関する登記も記述式問題にとって要注意の改正ポイントです。

今年の試験の目玉は改正民法ですが、会社法の大きな改正はやはり受験生にとっては負担になります。1月も残り僅か。令和2年度の本試験まであと5ヶ月です。改正点をマスターすべく努力していますが、とても大変です。おそらく他の皆さんも大変だと思うので、受験生の方は自分だけ大変って考えないようにしたほうが良さそうです。

定款の電子認証について

おはようございます。今日は電子定款認証のお話です。

会社を設立するときには発起人が定款を作成し、公証役場で認証してもらい、それをもって法務局で登記手続をします。

このように一言で説明できるのですが、実際には結構大変です。定款については、最近はいろいろなところにひな形が転がっているのであんまり問題なく作成できると思います。

専門家にお願いした定款であっても、おかしな規定が記載されていたりして首をかしげることがありますが、詳しくない方が独力で作成したものはもっと無駄なことが見受けられたりします。

それはともかく、定款を作成した後は公証役場での認証が必要になります。これを紙ベースでお願いするか、電子認証でお願いするかによって料金が違ってくるんですね。

安くてすむから電子認証でやろうと思っても、すぐに誰でも出来るわけじゃないところにハードルがあります。

電子認証するためには、ICチップ付きの認証カードとかカードリーダーを準備する必要があります。確定申告をずっと電子申請してきた方はそういう設備がすでに整っているのですが、今度はpdfファイルに認証を書き込むソフトを準備しなければなりません。

費用を掛けて機材をそろえ、さらに手間暇掛けて使えるようにする。こういうことを考えると電子認証については、費用はかかりますが、行政書士か司法書士にお願いするのがいいような気がします。

中小企業等協同組合って

おはようございます。最近日も長くなり、暖かくなってきました。過ごしやすくていいですね。

さて、まだまだ寒い先月の中旬頃、ある会社さんから役員の変更と警察署への届出のご依頼がありました。株式会社と会社ではない法人です。株式会社はよく知っているので問題なかったのですが、会社ではない法人の方は初めてのケースでした。

一口に会社ではない法人といいますが、その中には一般社団法人や医療法人など様々なものがあります。今回は中小企業等協同組合でした。

法務局に対して行う商業登記は勿論あるのですが、それ以外にも関係省庁に対する届出がいるんですね。中小企業等協同組合の場合は、法務局には代表理事しか登記されません。

最初に登記事項証明書を見たときに、ちょっと違和感があったのですが、そのときはそんなものかなって思っていました。

代表理事の変更ということで、総会とか理事会の議事録作成をするのですが、登記事項証明書には代表理事しか記載されておらず、それだけでは現在の理事がまったく分からないんです。なんらかのリストなりがあるはずと思い、ご依頼主に確認すると理事のリストや組合員の名簿をいただくことができました。

最初にお話をするときにそういったリストも必要であることを伝えていればもう少しスムーズにいったのですが、初めてということもあって少し手間取ってしまいました。

無事に登記も終わり、警察署への届出も終わり、これで完了かというところになって、少し気になって中小企業等協同組合について調べてみたんです。

定款規定をじっくり読みますと、中小企業等協同組合法という会社法とは違う法令について記載されている箇所がありました。いろいろ調べたところ都庁の産業労働局へ役員の変更届が必要ということが判明しました。

宅地建物取引業のように商業登記と都庁への変更届の2本立てというケースはよくありますので、今回も商業登記と警察署への変更届だけで終わりかと思ってしまったのが原因ですね。

それにしても中小企業等協同組合の定款規定は難しい。内容が難しいというよりも、規定に従って書類を作成するのが難しいです。議事録に記載すべき事が多いんです。

ところで、今回役員の一部が権利義務承継期間中であったため、重任とならず退任と就任という形になりました。よく知っている人が見ればまったく違和感なく理解できるのですが、そうでない場合は途中になにもない期間があるように見えます。

許認可がらみの変更提出は司法書士の分野ではないので、本人で行われるか、行政書士にお願いするかになります。本人でなされる場合、これを説明しろって言われても、普通は納得できるような説明は難しいと思われます。

こういった事態にならないようにするのが一番なのですが、こういうケースに該当してしまった場合はよく知った行政書士にご依頼されるのがよいかと思います。

大企業の「社外取締役」設置、法律で義務づけへ 法務省

おはようございます。もう年末ですね。12月に入ってすぐマンション管理系の管理業務主任者試験がありましたが、その後は行政書士の無料相談員や研修を受けて過ごしておりました。朝日新聞に面白い記事が載っていたので久しぶりに投稿します。

(2018年12月28日付け 朝日新聞DIGITALから引用)

経営に社外の目を入れて透明性を高める役割の「社外取締役」を、上場企業などの大企業に1人以上置くよう法律で義務づける方針を、法務省が固めた。すでにほとんどの上場企業が社外取締役を入れているが、法律で定めることで役割を明確にし、経営監視の責任を果たしやすくする。

2019年1月中旬に開く法制審議会の会社法制(企業統治等関係)部会で正式に決め、早ければ同年の通常国会に提出予定の会社法改正案に盛り込む。外国の投資家に対し、世界標準のコーポレートガバナンス(企業統治)だとアピールする狙いもある。

社外取締役の義務づけについて、経団連など経済界は「個々の企業の判断に任せるべきだ」と難色を示していた。一方、機関投資家や弁護士会などは今春の法務省の意見公募に対し「日本企業の信頼性確保のために必要」との意見を多く寄せた。

2018年12月28日付け 朝日新聞DIGITAL

会社法では、社外取締役が義務づけられている機関設計もありますが、大企業に設置義務化されることになりそうです。監査等委員会設置会社が最近人気があるようなのですが、従来型の会社でも義務づけられるんですね。

ここでは上場企業って書かれているから公開会社が対象のように読めますが、その辺りは法制審議会の結果を待ちたいところです。

株式会社の清算について

こんばんは。先日、長いことほったらかしている株式会社を解散したいのでどうしたらいいのか?という相談がありました。

行政書士として商業登記はできませんが、株主総会の議事録を作成したりするケースはあります。

みなし解散ということが頭をよぎりましたが、まずは現状を把握しようと思い、ご自分の会社についていくつか質問をさせていただきました。定款を持参されていると一目瞭然なのですが、あいにく持参されておらず、簡単に口頭のみでの確認となってしまいました。

まず非公開会社であるのかどうかという質問をさせていただいたのですが、公開会社とかそうでない会社というのがよくわからないということでした。公開会社というと上場会社のようなものをイメージされることが多いのですが、公開か非公開かというのは、株式を譲渡するに当たって制限があるかどうかということなのです。普通小規模な会社(一般的な家族経営などの会社)の場合は譲渡制限がかかっていると考えられます。

次に非公開会社として定款で役員の任期を10年に延長しているのかどうかをお聞きしたのですが、それについてもよくわからないとのこと。仕方がなかったので最後に役員の重任登記はいつ頃されたのか確認したのですが、まったく思い出せないとのことでした。

ご自分で会社の株主になっているにもかかわらず、自社のことをご存じない方って結構いらっしゃるのかもしれませんね。司法書士の先生に任せっきりって感じなんでしょうか。そういえば、知人の会社も役員更新の資料準備できたからって連絡がきて、お願いせざるを得ない状況になったとかならなかったとかという話を聞きました。同じ士業としてまず連絡して見積もりから入って欲しいところですけど。

話がそれました。解散の話に戻ります。最後の商業登記から12年でみなし解散という制度のがあります。本来役員の更新は10年(延長している場合)なので、それをやっていないというのは実体的に会社が機能していないということなんでしょう。そうなると解散ということになります。

その後は清算手続きをするか、会社の復活を検討するかということですが、いずれにしても完全休眠というのはありません。相談に来られた方は休眠をしたがっているように感じましたが、こればかりはどうしようもないですよね。

結局、若干面倒な手続きですが解散登記をして清算活動に入るか、みなし解散までほったらかしておくかという選択になります。前者の場合は株主議事録作成したり株主リストを準備したりと面倒ですし、登録免許税もかかります。また後者を選択すると法人税の均等割ってのがあるようで(あんまり詳しくないので税理士の先生に確認されることをお勧めします)、それを払い続けるのかということになります。

赤字なのでなんとかしたいというのもわかりますが、いざ清算しようにもいろいろ面倒なことがあるということも念頭においておく必要があるなという印象を受けました。

清算活動中に負債が多くなりそうということが判明すると破産手続きという裁判所がらみのお話になってきますし、ホントにご注意ください。

やはりこまめに専門の方と相談をする機会が必要なんだと改めて思いました。

社会福祉法人の制度改革研修

こんにちは、相変わらず寒い日が続きます。1月になって最初に投稿ということに気付きました。遅ればせながら、あけましておめでとうございます。今日は社会福祉法人の制度改革研修を受講してきました。内容は定款の記載事項の変更だったのですが、一般社団法人や一般財団法人との違いが面白かったので、記事を書いてみます。

改正点としては、評議員と評議会を必ず設置する必要があるようになったことが大きいようです。何が面白いのかというと、評議員を誰が選ぶのか?という点です。

一般社団法人:社員が理事を選任する

一般財団法人:評議会が理事を選任する

株式会社:株主総会(株主)が取締役を選任する

社員というのは従業員ではなくて、株式会社における株主のようなものと考えてください。また理事というのは株式会社における取締役と考えてください。理事長というのは代表取締役にあたります。

さて評議会というのがよく分からない言葉だと思いますので、簡単に説明します。財団法人というのは「お金」が主役です。ただ「お金」は自然人ではないので、当然ながら投票するとかできません。そのため「お金」の代わりに投票するなどをする人が必要になってきます。これが評議員です。つまり組織の中では一番偉いんですね。株式会社の株主のようなものです。

但し、評議員は「お金」の代わりに動く人なので、誰もが評議員になれるわけではありません。取締役が株主を変更したりできないのと同様に、理事が評議員を選任したり解任したりすることはできません。じゃあどうやって評議員を選ぶのか、ということになりますよね?

実は一般財団法人では、評議員になるための条件が予め決められております。「お金」が主役とは言っても、誰かが「お金」を出したから「お金」が主役になれるわけで、その誰かが「お金」を出資すると共に評議員になるための条件などを決めることになっています。この条件は誰もが勝手に変えることはできません。株式会社の株主は株を購入すると誰でもなれるのとは違います。

社会福祉法人の場合、この評議員を選ぶのは評議員選解任委員会となっています。

  • 監事、事務局員、外部委員の合議体(3名以上)
  • 理事、評議員は委員になれない(当然ですね)
  • 事務局員を職員と定めてもよい

監事というのは株式会社の監査役に当たる役職で、内部役員ではあるが、業務執行はしません。執行機関である理事を選ぶのにまったく無関係の第三者は実際あり得ないでしょう。とはいうものの関係ありすぎるものも癒着の問題があってできません。ということで事務局員ですか!

もしかしたら、いろいろある法人組織の中には同じような機関設計の法人があるのかもしれませんが、この社会福祉法人の機関設計は面白いなと思いました。

任意の指名委員会って何?

おはようございます。今朝の日経新聞に面白い記事が出ていました。まずは記事を引用しておきます。

(日経新聞2016年5月18日)

社長など経営陣の人事を議論する「指名委員会」を設置する企業が急増している。指名委を導入した上場企業は17日時点で475社と、2014年の約4倍になった。企業統治がより重要になり、経営陣の人事についても透明性を向上させたいとの意識が強まっているためだ。新しい制度が急速に普及するなかで一部では混乱も生じており、スムーズな運用のための工夫が問われている。

東京証券取引所のデータによると指名委を設ける上場企業は過去数年間、110~120社前後で推移してきた。だが、15年6月に企業統治の強化を求める「企業統治指針」が導入されたことで流れが変わり、指名委を取り入れる企業が急増した。

指名委には2種類ある。ひとつは企業統治の面で条件が厳しい「指名委員会等設置会社」がつくる指名委。このケースでは指名委が決めた取締役の人事案には法的な拘束力があり、参加者の過半を社外取締役にする必要もある。

もう一方は任意に設ける場合で、法的な拘束力を持たず、参加者を開示する義務もない。急増しているのはこちらの指名委で、406社と14年(53社)の8倍弱に膨らんでいる。指名委員会等設置会社に移行する手続きを経ないでも、スピーディーに指名委を立ち上げられるためだ。

(中略)

指名委が絡む問題も生じている。

セブン&アイで鈴木敏文会長らと社外取締役の意見が対立した舞台も任意の指名委だった。指名委の反対を押し切る形で中核子会社セブン―イレブン・ジャパンの社長更迭を諮ったものの取締役会では過半数を得られず、鈴木会長は辞任を決めた。指名委での社外取締役の権限があいまいだという問題も浮上した。

「任意も含めて指名委が増えているのは企業統治の前進」(コンサルティング会社、エゴンゼンダーの佃秀昭社長)との指摘は多い。今後は指名委での議論を活用しながら、優秀な人材を経営陣に登用していく運用の巧拙が企業の課題になる。

(引用ここまで)

この記事で、指名委には2種類あるってことを初めて知りました。イトーヨーカドーの件で、指名報酬委員会という言葉が出ていましたが、報酬委員会と指名委員会の各委員が単に兼任しているからそういう書き方してんだろうなと思ってました・・・。違ってたんですね。

従来の委員会設置会社が失敗したため、近年、監査等委員会設置会社制度が発足した(従来の委員会設置会社は指名委員会等設置会社へ名称変更)のは知っていましたが、ここにきて任意の指名委員会が増えてきているんですね。

法的な位置づけがないということは、登記もされていないでしょうから、定款とかにも書かれないかもしれませんね。定款作成業務に携わる側としては、もう少し知識を深めておきたいところです。

譲渡制限株式の譲渡(会社法136条)

こんにちは。本日は譲渡制限株式の譲渡についてです。譲渡制限株式の譲渡については結構広範囲に渡って条文が用意されています。

  • 譲渡制限株式を他人へ譲渡しようとするときは、当該他人が取得することについて承認するかどうかを請求できる(136)
  • 取得者は取得したことについて承認するかどうかを請求できる(137.1)
  • 前項の請求は、譲渡人と譲受人共同でする必要がある(137.2)

買取先を見つけ、承認を求める

譲渡したい株主Aは買い取ってくれる相手を見つけてくるところから始まります。これ、結構大変なことです。非公開会社の株式を持っている株主が持ち株を売却するような状況を考えてみてください。まぁ知らない会社の株なんて買ってくれませんよね。買ってくれるとしたら取引先とかくらいしかないかもしれません。

Aは買取先Bを見つけた時点で、請求することもできますが、譲渡後はAB共同で請求します。Bからだけの請求だといかにも怪しいですからね。(但し、利害関係人の利益を害する恐れがなければ単独でも可能です。)


譲渡承認の決定

会社が譲渡承認してくれたらそれで終了です。

  • 承認を決定するのは取締役会、取締役会がなければ株主総会(普通決議)です。定款に別段の定めOK(139.1)

不承認を決定されたらどうなるのか?

会社による買取決定、又は指定買取人の指定

実は譲渡承認を求めるときに、譲渡承認してくれなかったら買い取ってくれ、あるいは買取人を指定してくれということができます。

  • 譲渡承認をしない旨の決定をする場合に、当該会社又は指定買取人に買い取ってほしいと請求したいときはその旨を明らかにしておく(138.1.ハ)

これらは、譲渡したい側からの準備になります。その段階を踏んでいると、会社側としては、買い取るか指定買取人を指定する必要があります。

  • 買取請求を受けた場合に、譲渡承認をしないなら、買い取らねばならない(140.1)
  • 買取事項の決定は株主総会(特別決議)(140.2)
  • 買取人を指定することができる(140.4)
  • 指定は、取締役会、取締役会がなければ株主総会(特別決議)です。定款に別段の定めOK(140.5)

実は、譲渡制限の株式でも手続きをしっかりとやっていれば、会社が買い取ってくれるんですね。

試験で注意するポイントとしては、

  • 譲渡承認してくれ:普通決議、取締役会、定款に別段
  • 買い取ってくれ:特別決議
  • 買取人を指定してくれ:特別決議、取締役会、定款に別段

のように決議機関が微妙に違っていることです。