宅建業 営業保証金について

こんにちは。宅建業法のテキストと平行して過去問を進めています。営業保証金のところに差し掛かっており、そこそこボリュームがありますね。

免許取得から業務開始の流れは次のようになっています。

  1. 免許を取得
  2. 保証金を供託
  3. 供託した旨を知事に届出
  4. 業務開始

よく引っかけで出されるのが、供託しないと免許取得できないという奴ですね。

宅建業の申請書を書かれたことがある行政書士の方なら分かると思いますが、供託したかどうかは申請書に記載することはないです。東京都の手引き書にも最初の方にフローチャートがありますが、免許通知(免許証を交付しますよというハガキ)を取得してから供託という流れが書かれています。供託が終わってから免許証交付という流れになっています。

一方変更(支店追加)の場合は、営業保証金供託届出書などという書面が添付書類になっています。

追加の場合は、すでに免許証は交付されているため、免許証と引換ということができないからでしょうか?何でも良いからこじつけて頭に入れておきましょう。私もこれで忘れないと思います。


営業保証金の還付

還付があると供託所から知事に通知が行き、その後に知事から業者へ通知という流れになっています。

供託所から直接業者の所に来ても良いような気がしますが、そうはなっていませんね。これもさっきと同じように考えると腑に落ちます。

すでに免許証は交付されている訳なので、供託しなかったらいつでも取消しできるぞということをにおわせておく必要があるためです。だから2週間以内に供託をして、それから2週間以内に届け出るわけですね。

独学で宅建士 宅建業法5条と18条について

こんにちは。宅建士の勉強を始めてまだちょっとですが、第2編宅建業法を一通り読みました。行政書士の業務でもあるところなど割とすんなり頭に入ったのもありますが、宅建業法5条と18条についてはよく似ていますので混乱しやすいですね

5条(免許の基準)
18条(宅地建物取引士の登録)

貸金業務取扱主任も同様の構成になっており、受験当時整理した方法が割と頭に入りやすかったので、今回もやってみます。

また条文通りだと引用引用があり、さらに混乱する恐れがあるので、TAC出版のTAKKEN士、わかって合格る宅建士基本テキストに沿って書いてみます。(他の参考書でもだいたい同じ構成で書かれていると思います。)

まず5条の方です。「法人が」とか「~する者」とか条文に書かれており、混乱しやすいのですが、これは業者のお話になります。


申請者関係

①一定事由で免許を取り消された者
②廃業した者
③60日前から役員だった者
④不動産絡みの罰金、一般犯罪の禁固刑
⑤暴力団
⑥宅建業の不正をした者
⑦宅建業の不正のおそれある者

このうち、①~③を分かりやすく次のようにしてみます。

①免許を取り消された法人(個人事業主)
②廃業した法人(個人事業主)
③上記法人にいた個人
が、再び業をやるのがダメ

①②は復活についてのお話しですが、階層がそのままなので、個人事業主という言葉を表に出すよりも、単に「業者」とした方が覚えやすいです。

③は役員が個人事業主として出発するのが難しいということです。ここは1つ上の階層になることがダメですね。

このように覚える

①免許を取り消された業者 → 復活
②廃業した業者 → 復活
③上記法人にいた個人 → 個人事業で独立
以上5年しばりあり


次は18条。こちらは個人のお話しです。

申請者関係

①一定事由で宅建業の免許を取り消された者
②廃業した者
③60日前から役員だった者
④不動産絡みの罰金、一般犯罪の禁固刑
⑤暴力団

ここで①、②は業の免許を取り消された者というような書き方をしているので、法人のことを含むように思えますが、この18条が対象にしているのはあくまでも個人の免許であり、法人は有り得ません。

③については法人が有り得ます。1~3を分かりやすく次のようにしてみます。

①免許を取り消された個人事業主
②廃業した個人事業主
が、宅建士としてダメ

③免許を取り消された業者、廃業した業者にいた個人
が、宅建士としてダメ

結局どうなるのかというと

  • 「業者」だろうが「そこにいた個人」だろうが、業者復活もダメだし、宅建士登録もダメということ
  • あとは法人が宅建士登録できないのは当然ですね
  • ①、②が一定の事由であることに注意

次は5年間ルールについて

  1. 悪事を働き
  2. 聴聞の公示
  3. 廃業
  4. 取消処分
    という流れを考えてみましょう。

廃業があれば廃業から5年ですが、廃業せずに取消処分を待てば取消処分から5年かかります。廃業した方が若干(約1週間程度と思われます)はやく再開できることになります。なんか理不尽さを感じますが。ここだけ注意です。


次は関係者

⑨なにもできない未成年の親が①~⑧に該当
⑩役員・使用人が①~⑧に該当

2011年設問7の肢1がかなりよい問題ですね。

所属している役員が刑を受けたので取消しを受け、その会社の別の役員を雇った法人はどうなの?という問題です。

  • 悪さをした役員(④に該当)
  • その結果取消しされた法人(⑩に該当)
    ここ結構難しいです。①の取消し事由は法人自身の問題3種類なので、そこにいた個人が原因となるものは出てきません。
  • その法人にいた別役員
    取消しにあった法人にいた役員ですが、③には該当しない
    ここ結構難しいです。①の事由は法人自身の問題3種類なので、そこにいた個人は出てきません。当然と言えば当然ですが、よく考えられてますよね。
  • その別役員を雇った法人

結局どうなるのか?

役員は法人自身が悪さをしたときに責任を持つが、別役員の悪さまで知らないよということですね。

独学で宅建士 宅建業者と宅建士(宅建業法)

おはようございます。先日から宅建業法を読み込み始めました。民法は行政書士や貸金業務取扱主任の試験を受けるときにもかなり読み込みましたので、今回は後回しです。ただ宅建士試験特有の区分所有に関する深いところや借地借家のところがありますので完全に無視は出来ません。

さて、行政書士の業務の一つとして宅建業の登録や更新などがあります。適切な書類を揃えて都庁などに提出し、免許を交付して貰ったりする業務になります。

更新があり定期的なお仕事に繋がりますし、更新までの途中にも専任の宅建士の追加変更等もまま発生しますので大事にしておきたい業務の一つです。

宅建業法の最初の部分はこの宅建業者の登録及び登録内容、申請場所などまさに業務に直結する箇所ですね。また宅建士個人に関する登録や変更も同様に業務に直結する箇所となります。

この「宅建士」個人と「宅建業者」の関係が最初かなりわかりにくいのですが、行政書士の業務をやっているのもあってスッキリと頭に入ってきます。因みに「○○業」とそれに所属する「○○士」という構造はいろんな業種で似通っていますね。貸金業務取扱主任でも同じ構造でした。一度この構成になれると後は右へ習えでいけると思います。

次に、登録や変更等行政庁へ提出する申請書に書く内容を理解する必要があります。不動産屋さんにお勤めの方でもこの申請書はたぶん一部の方しか見たことが無いと思いますが、一度でも目を通すと、あぁこれは申請書には書かないんやな、だったら変更があっても変更届けは不要やな、みたいに理解が早まります。都庁のHPでもダウンロードできるので、一度目を通してみるのも良いかもしれません。供託についても書かれています。

行政書士としても、何があったら変更申請しなければならないということは知っておく必要があります。お客さんのところで変更がありそうという話を聞いたなら、これとこれの変更をいついつまでにする必要がありますね、まずはこれを変更してなどと会話をつなげて信頼を築くようにしたいものです。

宅建業 名簿登載事項変更について

おはようございます。先日、ある不動産会社から専任の宅建士の追加変更の依頼を受けました。

業務内容としては都庁へ提出する変更届けの作成と提出になります。それほど難しい業務ではないため、不動産会社の担当者が自身で作成して提出されるケースも多いと思います。

ただその方にお話を聞くと書類の不備とかで2度手間になったということもあり、専門家である行政書士に依頼する方が少々費用がかかっても気が楽ということでした。

今回は専任の宅建士となられる方個人の変更も合わせての依頼だったため、その方の変更から進めることにしました。というより、その変更を済まさないと会社の方の変更が出来ません。

このあたりかなり厳密になっています。こちらの変更も合わせて30日以内なので、うかうかしていると期限切れで始末書の提出を求められますのでご注意ください。

さて、会社は東京にあるのですが、宅建士の登録は東京とは限りません。神奈川、埼玉、千葉である可能性もかなりあります。東京へ通っている隣接県の方が沢山いらっしゃることは皆さんご存じ通りです。

この場合、宅建士の登録のある県の窓口での変更手続きが必要となります。また各県によって提出書類が若干違っているようなので調査も必要です。これが終わってからやっと都庁での宅建業(会社)の変更となります。

遺言の立会い(民法969条)

おはようございます。最近すっかり温かくなってきました。ただ残念なことに4月になってからは雨が続いており、桜が早々と散ってしまいそうです。

ところで最近、公証役場での遺言立会の仕事が割にあります。この立会というのは、公正証書遺言の証人のことで、2人以上の立会いが必要です(民法969条)。

公正証書遺言

  • 公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない
  1. 証人二人以上の立会いがあること
  2. 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること
  3. 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること
  4. 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる
  5. 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと

ここで口述をするとなっておりますが、実際のところ下書きを予め公証役場に送っておき、立会いの現場では原本及び謄本は作成されております。公証人はこの原本に基づいて口頭で述べ、遺言者と証人2人、さらに公証人が署名捺印をします。


 

この公正証書の証人には欠格事由があり、よく試験問題に出ます。

証人及び立会人の欠格事由(民法974条)

  • 次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない
  1. 未成年者
  2. 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
  3. 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

ここで公証人の関係者が除かれております。試験問題では耳が聞こえない人とか被保佐人とかで問われることがありますね。

注意しておきたいのは2項です。文言がすっと頭に残る人はいいですが、自分自身も含めてまったくスッと入ってこないと思います。推定相続人の直系というところがポイントで、父親の遺言書を想定すると、叔父さんはセーフです。

さて、遺言書はその性格上財産の開示に近いため、証人を頼む場合に友人知人を避ける傾向にあるのです。では誰に証人を頼むのか?見ず知らずの人でも身元のしっかりした人になって欲しい、というのが人情では無いでしょうか。ということで行政書士や司法書士などが証人としてよく求められるようです。

節税目的の養子縁組「ただちに無効ではない」 最高裁

おはようございます。これ少し前にでた問題ですが、最高裁の判決が確定しました。お仕事や試験に直結する方もいらっしゃると思います。

(朝日新聞2017年1月31日付けから引用)

相続税対策を理由に、孫を養子にした男性(故人)の養子縁組が有効かどうかが争われた訴訟で、最高裁第三小法廷(木内道祥裁判長)は31日、「節税目的の養子縁組であっても、ただちに無効にはならない」とする初めての判断を示した。「節税目的の養子縁組は無効」とした昨年2月の二審・東京高裁判決を破棄し、「有効」とした一審・東京家裁判決が確定した。

(中略)

15年の一審判決は、男性が養子縁組の書類に自ら署名していることなどから、「養子縁組の意思があり有効」と判断した。一方、二審判決は、孫を養子にすることで節税効果があるとの説明を男性が税理士から受けていた点を指摘。養子縁組は節税が目的で「真の親子関係をつくる意思はなかった」として無効とした。

第三小法廷はこの日、「節税目的と縁組をする意思は併存しうる」と指摘。専ら節税のためであっても、ただちに民法が縁組を無効にできると定めた「縁組の意思がない時」に当たるわけではない、と述べた。二審判決は「縁組には『真の親子関係をつくる意思』が必要」としていたが、第三小法廷はこの点には言及しなかった。そのうえで、今回のケースでは「縁組の意思がなかったとうかがわせる事情はない」として、養子縁組は有効と結論づけた。(千葉雄高)

(引用ここまで)

感情的にはダメなんでしょうが、法律的には認められたという感じでしょうか。孫を養子にするというのは相続税対策でよく知られていましたが、お墨付きをもらった格好になります。それにしても遺産相続に絡む最高裁の判例って多いですよね。相続に絡む金銭問題が如何に熾烈を極めるのかを示しているようで、なんか考えさせるモノがあります。

社会福祉法人の制度改革研修

こんにちは、相変わらず寒い日が続きます。1月になって最初に投稿ということに気付きました。遅ればせながら、あけましておめでとうございます。今日は社会福祉法人の制度改革研修を受講してきました。内容は定款の記載事項の変更だったのですが、一般社団法人や一般財団法人との違いが面白かったので、記事を書いてみます。

改正点としては、評議員と評議会を必ず設置する必要があるようになったことが大きいようです。何が面白いのかというと、評議員を誰が選ぶのか?という点です。

一般社団法人:社員が理事を選任する

一般財団法人:評議会が理事を選任する

株式会社:株主総会(株主)が取締役を選任する

社員というのは従業員ではなくて、株式会社における株主のようなものと考えてください。また理事というのは株式会社における取締役と考えてください。理事長というのは代表取締役にあたります。

さて評議会というのがよく分からない言葉だと思いますので、簡単に説明します。財団法人というのは「お金」が主役です。ただ「お金」は自然人ではないので、当然ながら投票するとかできません。そのため「お金」の代わりに投票するなどをする人が必要になってきます。これが評議員です。つまり組織の中では一番偉いんですね。株式会社の株主のようなものです。

但し、評議員は「お金」の代わりに動く人なので、誰もが評議員になれるわけではありません。取締役が株主を変更したりできないのと同様に、理事が評議員を選任したり解任したりすることはできません。じゃあどうやって評議員を選ぶのか、ということになりますよね?

実は一般財団法人では、評議員になるための条件が予め決められております。「お金」が主役とは言っても、誰かが「お金」を出したから「お金」が主役になれるわけで、その誰かが「お金」を出資すると共に評議員になるための条件などを決めることになっています。この条件は誰もが勝手に変えることはできません。株式会社の株主は株を購入すると誰でもなれるのとは違います。

社会福祉法人の場合、この評議員を選ぶのは評議員選解任委員会となっています。

  • 監事、事務局員、外部委員の合議体(3名以上)
  • 理事、評議員は委員になれない(当然ですね)
  • 事務局員を職員と定めてもよい

監事というのは株式会社の監査役に当たる役職で、内部役員ではあるが、業務執行はしません。執行機関である理事を選ぶのにまったく無関係の第三者は実際あり得ないでしょう。とはいうものの関係ありすぎるものも癒着の問題があってできません。ということで事務局員ですか!

もしかしたら、いろいろある法人組織の中には同じような機関設計の法人があるのかもしれませんが、この社会福祉法人の機関設計は面白いなと思いました。

任意の指名委員会って何?

おはようございます。今朝の日経新聞に面白い記事が出ていました。まずは記事を引用しておきます。

(日経新聞2016年5月18日)

社長など経営陣の人事を議論する「指名委員会」を設置する企業が急増している。指名委を導入した上場企業は17日時点で475社と、2014年の約4倍になった。企業統治がより重要になり、経営陣の人事についても透明性を向上させたいとの意識が強まっているためだ。新しい制度が急速に普及するなかで一部では混乱も生じており、スムーズな運用のための工夫が問われている。

東京証券取引所のデータによると指名委を設ける上場企業は過去数年間、110~120社前後で推移してきた。だが、15年6月に企業統治の強化を求める「企業統治指針」が導入されたことで流れが変わり、指名委を取り入れる企業が急増した。

指名委には2種類ある。ひとつは企業統治の面で条件が厳しい「指名委員会等設置会社」がつくる指名委。このケースでは指名委が決めた取締役の人事案には法的な拘束力があり、参加者の過半を社外取締役にする必要もある。

もう一方は任意に設ける場合で、法的な拘束力を持たず、参加者を開示する義務もない。急増しているのはこちらの指名委で、406社と14年(53社)の8倍弱に膨らんでいる。指名委員会等設置会社に移行する手続きを経ないでも、スピーディーに指名委を立ち上げられるためだ。

(中略)

指名委が絡む問題も生じている。

セブン&アイで鈴木敏文会長らと社外取締役の意見が対立した舞台も任意の指名委だった。指名委の反対を押し切る形で中核子会社セブン―イレブン・ジャパンの社長更迭を諮ったものの取締役会では過半数を得られず、鈴木会長は辞任を決めた。指名委での社外取締役の権限があいまいだという問題も浮上した。

「任意も含めて指名委が増えているのは企業統治の前進」(コンサルティング会社、エゴンゼンダーの佃秀昭社長)との指摘は多い。今後は指名委での議論を活用しながら、優秀な人材を経営陣に登用していく運用の巧拙が企業の課題になる。

(引用ここまで)

この記事で、指名委には2種類あるってことを初めて知りました。イトーヨーカドーの件で、指名報酬委員会という言葉が出ていましたが、報酬委員会と指名委員会の各委員が単に兼任しているからそういう書き方してんだろうなと思ってました・・・。違ってたんですね。

従来の委員会設置会社が失敗したため、近年、監査等委員会設置会社制度が発足した(従来の委員会設置会社は指名委員会等設置会社へ名称変更)のは知っていましたが、ここにきて任意の指名委員会が増えてきているんですね。

法的な位置づけがないということは、登記もされていないでしょうから、定款とかにも書かれないかもしれませんね。定款作成業務に携わる側としては、もう少し知識を深めておきたいところです。

控訴と上告、抗告の違い

こんにちは。連休中は更新できませんでしたが、本日から再開します。民事訴訟法では控訴・抗告などよく似た制度がいくつかあります。今回はこの不服申し立てについてちょっとまとめてみます。

控訴・上告・抗告はすべて裁判結果に不服がある場合に発せられるものです。

裁判所(あるいは裁判長)が下す裁判には、判決と決定・命令があり、口頭弁論を経た後に下す「判決」に対する不服として「控訴」「上告」があります。

口頭弁論を経る必要のない「決定」「命令」に対しては抗告となります。


控訴とは

第一審裁判所(最初に受けた裁判所)の結果に対する不服申立てで、「控訴裁判所」に審査を求めることです

  • 第一審が家裁や地裁の場合は高裁
  • 簡裁の場合は地裁

上告とは

控訴裁判所が下した控訴審の判決に対する不服を申し立てることで、「上告裁判所」に審査を求める事です。

  • 地裁が控訴裁判所である場合は高裁
  • 高裁の場合は最高裁

上告審は憲法違反・法令違反等の法令の適用の誤りについての判断が中心です。つまり法律の適用のされ方がおかしいとか、明らかに法律が悪用されているような場合に判断を求める措置です。口頭弁論を開かずに書面審査だけで審理を行うことも出来ます。


抗告とは

下級裁判所(「最高裁」以外の裁判所)がなした「決定・命令」に対する不服申し立てです。法が認める場合に限って上級裁判所に審査を求める事ができます。

遺留分の計算(民法1029条)

おはようございます。昨日は相続分の計算について、特別授与がどうなるのかについて書きましたが、本日は遺留分について書いてみます。

まずは遺留分の計算方法ですが、これはいろいろなサイトなどに書かれていると思うのでさらっというと、相続分の半分です。(すごく乱暴ですが)

遺留分算定基礎額における特別授与

  • 遺留分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除して、これを算定する(1029.1)

まとめると次のようになります。(比較するために相続財産も記載してます)

相続財産 = 死亡時の財産 + 特別受益額

遺留分算定基礎額 = 死亡時の財産 + 贈与 – 死亡時の債務

死亡時の債務というのが控除されていますが、だいたい相続財産の計算と同じです。


贈与について

贈与と特別受益の違いが気になると思います、贈与について条文には次の通り書かれております。

  • 贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する(1030前半)
  • 当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする(1030後半)
  • 遺留分権利者は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び前条に規定する贈与の減殺を請求することができる(1031)

つまり、遺留分算定の基礎における贈与とは次のようになります。

  • 死亡の1年前から死亡時までにしたものが対象
  • 当事者双方が遺留分のある相続人に損害を加えることを知っていた場合は遡る
  • 遺贈は贈与に含まれる

特別受益の扱い

相続分の計算では特別受益の対象となる贈与はどこまでも遡りました(昨日のブログ参照)。相続人間の公平という観点からするとよく分かります。一方、遺留分の方は、遡れるのが1年前までの贈与となります。あんまり昔のことを言われてもという感じでしょうか。

おまけですが、他に注意するポイントは、

  • 遺留分の権利者が亡くなった後、承継人でもできる
  • 遺贈は、その目的の価額の割合に応じて減殺する。但し、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う(1034)