任意の指名委員会って何?

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おはようございます。今朝の日経新聞に面白い記事が出ていました。まずは記事を引用しておきます。

(日経新聞2016年5月18日)

社長など経営陣の人事を議論する「指名委員会」を設置する企業が急増している。指名委を導入した上場企業は17日時点で475社と、2014年の約4倍になった。企業統治がより重要になり、経営陣の人事についても透明性を向上させたいとの意識が強まっているためだ。新しい制度が急速に普及するなかで一部では混乱も生じており、スムーズな運用のための工夫が問われている。

東京証券取引所のデータによると指名委を設ける上場企業は過去数年間、110~120社前後で推移してきた。だが、15年6月に企業統治の強化を求める「企業統治指針」が導入されたことで流れが変わり、指名委を取り入れる企業が急増した。

指名委には2種類ある。ひとつは企業統治の面で条件が厳しい「指名委員会等設置会社」がつくる指名委。このケースでは指名委が決めた取締役の人事案には法的な拘束力があり、参加者の過半を社外取締役にする必要もある。

もう一方は任意に設ける場合で、法的な拘束力を持たず、参加者を開示する義務もない。急増しているのはこちらの指名委で、406社と14年(53社)の8倍弱に膨らんでいる。指名委員会等設置会社に移行する手続きを経ないでも、スピーディーに指名委を立ち上げられるためだ。

(中略)

指名委が絡む問題も生じている。

セブン&アイで鈴木敏文会長らと社外取締役の意見が対立した舞台も任意の指名委だった。指名委の反対を押し切る形で中核子会社セブン―イレブン・ジャパンの社長更迭を諮ったものの取締役会では過半数を得られず、鈴木会長は辞任を決めた。指名委での社外取締役の権限があいまいだという問題も浮上した。

「任意も含めて指名委が増えているのは企業統治の前進」(コンサルティング会社、エゴンゼンダーの佃秀昭社長)との指摘は多い。今後は指名委での議論を活用しながら、優秀な人材を経営陣に登用していく運用の巧拙が企業の課題になる。

(引用ここまで)

この記事で、指名委には2種類あるってことを初めて知りました。イトーヨーカドーの件で、指名報酬委員会という言葉が出ていましたが、報酬委員会と指名委員会の各委員が単に兼任しているからそういう書き方してんだろうなと思ってました・・・。違ってたんですね。

従来の委員会設置会社が失敗したため、近年、監査等委員会設置会社制度が発足した(従来の委員会設置会社は指名委員会等設置会社へ名称変更)のは知っていましたが、ここにきて任意の指名委員会が増えてきているんですね。

法的な位置づけがないということは、登記もされていないでしょうから、定款とかにも書かれないかもしれませんね。定款作成業務に携わる側としては、もう少し知識を深めておきたいところです。