どうなる民泊?

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民泊が少し勢いを欠いてきていますが、久しぶりに記事を見つけたので引用します。

(日経新聞2017年2月28日付け(日経ビジネス2月27日号再構成)から引用)

エアビーが民家などへ送った宿泊者数は2008年の創業以来、1億5000万人を超えた。紹介する宿泊物件数は世界191カ国に300万件以上。昨夏のリオデジャネイロ五輪ではエアビーが公式サプライヤーとなり、大会中に8万5000人が宿泊、家を貸したホストの収入は3000万ドル(約34億円)、宿泊者の増加などによる全体の経済効果は約1億ドル(113億円)あったという。

だが、これも日本では規制に阻まれ、まともな営業活動ができていない。日本では届け出のない「闇民泊」が急増している。

エアビーに掲載されている都内の物件数は1万7000超、大阪府内は1万2000超あるが、その多くが旅館業法の規定違反と見られる。自治体職員が違反物件の調査などに乗り出しているが、捜査や差し止めなどの強制力はなく、放置されているのが現状だ。

2013年、国家戦略特区諮問会議は、特区で民泊を解禁する方針を示し、昨年から一部自治体では、旅館業法が定めるフロントの設置や、一部の提出書類を省いても民泊として営業可能となった。次いで、全国的な解禁に向けた作業も観光庁を中心に進んでおり、今国会中にも新法の法案が提出される見込み。年間上限180日以内であれば、自宅を他人に貸せるようにする。

しかし、これも妥協の産物で、世界標準には程遠い。

「ロンドンやパリなど世界の多くの都市では、年間上限までは無届け・無許可で営業可能。日本は特区同様、登録や周辺住民への説明が必須、という法案になりそう。だが、それでは一般人ホストにとって壁が高く、例えば70歳のおばあちゃんが亡くなった旦那の寝室を貸せるような制度ではない」。エアビー関係者はこう漏らす。

新法では、行政庁への登録義務化に加え、貸すホストは玄関などに名前などを書いた「標識」の掲示も義務付けるもようだが、「一人暮らしの女性などは危険に感じ、登録を断念せざるを得ない」(同)との声もある。ホストにとって不便・不安という点で、民泊を後退させるような法案なのだ。

お気づきだろうが、ここまで経産省の名は出てこない。経産大臣が「世界から取り残される」と憂いているのに、経産官僚は事実上、打開に向けた行動ができていないのが現状だ。

(中略)

グーグルなどが加盟する米最大のIT業界団体、インターネット・アソシエーションは近く、日本のシェアリングエコノミー政策を痛烈に批判する声明文を出す。

(中略)

本誌が入手した民泊新法の法案には、エアビーのような民泊仲介業者にも観光庁への登録を義務付け、登録のない違法な物件があった際は業務停止命令や仲介業者の登録抹消といった処分を下す、という旨がある。

前述の通り、新法の内容は一般人のホストにとってハードルが高く、国内物件の多くが届け出のない違法状態の今と何ら変わらない可能性がある。となれば、エアビーは数万件ある違法物件の多くを削除せざるを得ない状況に追い込まれる可能性がある。

米国の業界団体は、こうした日本政府の対応を自由競争を阻害する参入障壁と捉え、憤っている。本誌が入手した声明文の草稿にはこうある。

「日本政府の方針には、登録事業者に厳しい義務を課すことによって、日本国内、そして他国でホームシェアのプラットフォームの運営を目指す事業者を排除する可能性が含まれている。これは競争と消費者の選択を大幅に制限するばかりか、イノベーションの妨げとなる」「政府がシェアリングエコノミーを支援すると表明しつつ、同時に事業者の自発的な抑制を検討するという矛盾をはらんだ動きだ」

この話とは別に、「民泊新法の内容が、外資の自由参入を認める世界貿易機関(WTO)協定違反の疑いがあるとして、既に米大使館などが動いている」(業界関係者)という話もある。今後本格化する日米貿易交渉で米大統領のトランプなどから攻撃を受けるかもしれない。

国際問題になりかねない罠が隠されている民泊新法。矢面に立たされ、尻ぬぐいするのは直接、法案作成に携わっていない経産省である。

(引用ここまで)

これ読むと外圧がある可能性が否定できなさそうです。しかし、いくら自由経済といっても安全と秤に掛ければ無秩序には認めないだろうなとは想像できます。民泊問題は結構文化的なものに根ざす問題のような気もします。

移民で成り立ってきた国であれば、そもそも隣が何する人なのかあんまり気にしないでしょうが、移民で成り立ってきた国ではないので、全体としては同質性を求めるというか、あんまり突飛な文化の人が数日とはいえ近所に来ることをいやがる性質があるような気がします。

ところで無秩序に認めてしまったケースのデメリットってのはあんまり問題視されていないようですが、どうなんでしょうか?