相続分の計算(民法903条)

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おはようございます。本日は、相続分の計算と遺留分の計算の相違です。相続分や遺留分の具体的計算方法については、いろいろなサイトに書かれていますが、「あれ?どうしてそうなるのか?」とか、「どっちがどっちだっけ?」、となることがあるようなので、どうしてそうなるのかを中心に考えたいと思います。

特に問題として取り上げたいのが、特別受益者が受け取った受益分です。

特別受益

まず特別受益とは何か?条文から引用してみます。

  • 共同相続人中に、被相続人から遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者(特別受益者)があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなす(903.1前半)

長々と書かれていますが、要するに「婚姻とか生計の資本として贈与を受けていたもの」が特別受益者となり、受け取ったそのものが特別受益になります。


特別受益者の例:

  • 婚姻のお祝いとして親父から援助を受けていた兄A
  • 生活が苦しくて親父から援助を受けていた弟B

相続財産

さて、それでは相続財産はどうなるのでしょうか。まず条文です。

  • 特別受益者は、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする(903.1後半)

まとめると次のようになります。

相続財産 = 死亡時の財産 + 上記特別受益額

つまり、親父が亡くなったときの財産をベースにするのではなくて、結婚祝いで兄がもらった分や、生活援助を受けていた弟の分を考慮しましょうということです。でないと、何ももらっていない娘がかわいそうですからね。