裁判官役も大変です

おはようございます。3月ですね。といっても世間を賑わす武漢肺炎のせいで気分は晴れませんけど。

先週末に政府から学校一斉閉鎖の通知が入り、司法書士の特別研修はどうなるかと思っていましたが、昨日予定通り行われました。

今回は裁判のロールプレイでした。先週のロールプレイでは和解がメインでしたが、今回は和解も含めて判決を言い渡すというものです。

主要事実が証明しきれないため、尋問を行い間接事実で裁判官の心証を形成させる必要があるのですが、これが難しい。どこに焦点を当てて尋問を聞いていれば良いのかが瞬時に判断できないんですね。どういう事実についてどのように話しているのかを評価しながら聞く必要がある訳です。

勿論、事前に準備書面を読み込み、食い違いのポイントを洗い出しておき、どこまで証言できるかっていうことを準備していたつもりだったんですけどね。

今回、裁判官は僕を含めて3人の合議体でしたが、皆さんやはりしっかりされていて、それぞれ心証を形成した間接事実を述べられます。ある要件事実を満たしているかどうかを判断するんですね。

まぁ我々が裁判官になるわけじゃないのですが、やっぱり要件事実は何であるのか、それを証明する間接事実はどんなものでどんなレベルを求めるのか、事前準備が最も大切だと思います。

6月の試験に向けて残り3ヶ月。過去問を3回くらい回したいところです。

尋問って難しい!

おはようございます。昨日は暖かかったですね。今週で2月も終わり、来週から3月ですからね。

さて昨日も司法書士の特別研修でした。本人尋問と証人尋問に臨むに当たっての尋問メモの作成です。つまりどういうことを尋問するのかを考えるわけですね。

一口に尋問っていってもこれ結構難しいんです。時間制限もあるため、単に聞きたいことを聞いているだけというわけにもいかないんですね。そして一番難しいのが、誘導尋問とか誤導尋問にあたるかどうかというところです。

ドラマなどで、検察が、

「あなたは○○にいましたよね、それって○○するためにいたんですよね?」

ってのに対して、被告側弁護士が手を挙げながら、

「異議あり!誘導尋問です」

ってやってますよね。あれです。

これ日常会話で相手を詰問したりするときにはよく使われます。でも裁判では禁止されてるんですよ。だから質問の仕方が難しい。ルールに則った戦いですが、そのルールが厳しいんです。

じゃあ聞きたいことが聞けないのかっていうと、実はそうではないんですね。裁判官はプロなので、○○にいたことを尋問で聞いていれば、その他の言動から、○○するためだったんだろうとか推測するわけです。言い替えれば裁判官の胸先三寸に運命が託されているんですよね。

認定司法書士になっても裁判官のポジションに着くわけではなく、あくまでも原告か被告の代理人です。ですが、裁判官ならどう判断するのかってところもある程度考えて発言しないとならないんですね。これが難しい。

さて、今日の研修は大手町で裁判官による講義となっています。なんか新型肺炎が気になるところではありますが、開催されるんやろうなぁ。

特別研修 模擬裁判

こんにちは。昨日は特別研修の模擬裁判でした。模擬裁判とはいうものの、原告側被告側それぞれ和解案を持ち寄っての和解期日の模擬でした。

和解案を考えるのは結構大変でしたが、和解期日に原告側被告側それぞれ交代しながら話をまとめていくっていうところは、実際に家庭裁判所でやっている調停と同じ感じであり、割ととっつきやすかったです。

実際に裁判の判決を言い渡されたとすると勝ち筋になるかどうかによって和解に期待するレベルも変わってくるし、相手側から出された案にビックリすることもあります。また大罪とした訴訟について、今回講師だった弁護士の先生がもし担当弁護士だったらどのくらいの報酬で受任されるかとか教えて貰ったりして結構楽しいひとときを過ごしました。

今日は次の課題である金銭消費貸借契約の模擬裁判の準備でしたが、こちらは証人尋問、当事者尋問の模擬をやるようです。これも楽しみですね。

それにしても司法書士の皆さんの知識はものすごいものがあり、普通に判例や先例がどうのこうのとか、さすがやなって思います。

ところで、休憩時間中に司法書士が司法書士の試験を受けることに対してどういう問題があるのかということを同期の方に聞いてみたんですね。そうすると、どうやら合格してしまうと品位保持に引っかかるようです。実際、試験中に予備校の講師と思しき人が受験しているようなので、受験することは多分問題ないとは思っていましたが、不合格になればいいんですね。マークシートに記入せず提出するとか。

昨年、宅建を教えてたので宅建士を受験しようかと思っていたのですが、宅建士を登録しているので受験してもいいのかどうか迷っていたのでちょっとすっきりしました。

準備書面って

こんにちは。昨日は久しぶりに寒かったですね。司法書士の特別研修はなかったのですが、行政書士新宿支部の研修で夕方に出かけたのですが、寒かった・・・。

今日は朝から特別研修の課題というか宿題というかになっている準備書面の検討をやっていました。原告側の訴状と被告側の答弁書、そして言い分が記載された課題を読んで原告の準備書面を書けってものです。

ところで、民事裁判では原告が訴状を提出し、被告がそれに対して答弁書を出します。その後はそれぞれが準備書面を提出するようなのですが、この準備書面ってものの位置づけが今ひとつ分からないんですね。

研修中に講師の方にこのことを聞いてみたら、最初から訴状に書いてもいいが、必要最小限だけを記載して、被告が何か言ってきてから考えるというのが普通だとのことです。最初から手の内をさらけ出す必要はないし、そもそも被告が全面的に認めればそれで終了ですしね。

まぁ言われてみればその通りです。ですが、準備書面に何を書いたらいいのかよく分からないことに変わりはないんですよね。勿論、書くべき内容は分かっているんですが、どういう構成で書けば良いのかが分からないんですよ。

最初に訴状には請求の趣旨と原因とか書き、被告はそれに対して認めるとか否認とか主張するわけです。それに対する主張だから、やはり否認するとか書くのかと思いきやそうでもない。だからよくわからないんですよね。

相手の主張を否定することを書くのか、それとも自分の抗弁というか補強すべき主張を書くのかも分からない。法科大学院に行くとこんなことばっかりやっているのでしょうけど、登記申請ばかり学んできた司法書士には難しいですね。

今回の課題は、勝手に契約書を作成した無権代理人が登場するケースでしたが、被告が本人なんですよ。無権代理人の責任を追及するって感じでもない。だとすると表見代理なのか?

表見代理ってことで参考図書を見ながらいろいろと考えていたんだが、途中で白紙委任状も貰ってないってことに気付いたんですね。(どこを調べても白紙委任状ってキーワードが出てくるんですよね、しかも委任されている風でもない)。これって表見代理に当たらないのかなとなってしばらく悩んでしまいました。

でも表見代理にも当たらないとなると、本人にはどういう責任があるんでしょうね。分からない。ということで、代理権の存在を推認させる方向で事実なりを書き出すことにしてみました。こんなんで答弁書って言えるのかどうか全く分かりませんが・・・。

競売不動産取扱主任 参考書など

おはようございます。行政書士試験も無事に終了し、競売不動産取扱主任者試験に向けて一直線です。

それにしてもこの「競売不動産取扱主任者」字面が長いですね。短くならないものかな。「宅地建物取引主任」→「宅建主任」、今なら「宅地建物取引士」→「宅建士」のように短縮したいところですね。「競売主任」・・・ちょっと怪しい。「競不主任」・・・でもこれかな?

使っているテキストは次の2点

  • 住宅新報社「競売不動産の基礎知識 改訂版」
    • 競売不動産取扱主任者試験公式テキストと銘打ってますが、残念なことに民法の改正には追い着いていませんし、練習問題も一部間違っているところがあります。この手の受験者数が少ない試験のテキストはその辺りがハードルが高いですよね。
  • パル出版「競売不動産取扱主任者試験 合格必須問題集」
    • こちらも少し古いものです。残念ながら毎年の改定は期待できそうもありません。しかも問題集なのに一部間違っている。

試験分野は民事執行法がメインです。なかでも不動産執行の実務と周辺が特に重要です。まぁ当たり前といえばそうですが。その他は民事訴訟、民事保全が少し、抵当権絡みの民法、基本的な不動産登記法という感じでしょうか。

幸いにして特に新規に学ぶことになる分野はなく、いきなり問題に取りかかってもある程度はできました。勿論これから細かいところを詰めていく作業は必要ですが、それにしても何十時間もかかるということはなさそうです。

学習時間は30時間くらいが目安となっていますが、これって宅建士を取得している人の話だと思います。まったくの初学者がこれに向き合ったらとても30時間じゃ足りません。また民事執行法の分野で出てくる「債務名義」なども民事訴訟のところから詳しくやり始めるととても無理ですね。

ところでテキストや問題集ではないですが、次の本をオススメします。

  • 日本評論社「実践民事執行法 民事保全法 第2版」
    • 実際に執行官が調査に行ったときの写真や手順、さらに執行官や裁判所が作成する文面などが民事執行の流れに沿って詳細に書かれており、非常に参考になります。

控訴と上告、抗告の違い

こんにちは。連休中は更新できませんでしたが、本日から再開します。民事訴訟法では控訴・抗告などよく似た制度がいくつかあります。今回はこの不服申し立てについてちょっとまとめてみます。

控訴・上告・抗告はすべて裁判結果に不服がある場合に発せられるものです。

裁判所(あるいは裁判長)が下す裁判には、判決と決定・命令があり、口頭弁論を経た後に下す「判決」に対する不服として「控訴」「上告」があります。

口頭弁論を経る必要のない「決定」「命令」に対しては抗告となります。


控訴とは

第一審裁判所(最初に受けた裁判所)の結果に対する不服申立てで、「控訴裁判所」に審査を求めることです

  • 第一審が家裁や地裁の場合は高裁
  • 簡裁の場合は地裁

上告とは

控訴裁判所が下した控訴審の判決に対する不服を申し立てることで、「上告裁判所」に審査を求める事です。

  • 地裁が控訴裁判所である場合は高裁
  • 高裁の場合は最高裁

上告審は憲法違反・法令違反等の法令の適用の誤りについての判断が中心です。つまり法律の適用のされ方がおかしいとか、明らかに法律が悪用されているような場合に判断を求める措置です。口頭弁論を開かずに書面審査だけで審理を行うことも出来ます。


抗告とは

下級裁判所(「最高裁」以外の裁判所)がなした「決定・命令」に対する不服申し立てです。法が認める場合に限って上級裁判所に審査を求める事ができます。

自白と証拠について

こんにちは。本日は民事訴訟法の自白と証拠について書いてみます。

民事訴訟法は弁論主義を採用しており、3つの原則があります。

  1. 主要事実について当事者の提出責任(当事者が主張しない主要事実は判断してくれない)
  2. 自白の拘束力(裁判上自白が成立した主要事実を判決の基礎としなければならない)
  3. 職権証拠調べ禁止(当事者が提出した証拠によって認定しなければならない)

簡単に言ってしまうと、裁判所は双方から出されたものを吟味して判断するだけであり、裁判所が自ら証拠を発掘してくれたりしません。何も主張しなければ負けということですね。


それはおいておいて、今回は自白です。(いついつまでに主張とか細かい規定があるのですが、今回その辺りは省略してますので注意)

自白の成立

自白が成立すると不要証事実となります。つまり、実際にその事実があったということになり、証明はいりません。例え裁判官が、「おかしいな、そんなことってないよな~」と思っていたとしても、関係ありません。事実として認定されます。

擬制自白とは

読んで字のごとく、当該事実を裁判上自白したものとみなされることです。相手が主張した事実について争わなかったりすると自白が擬製されます。但し、当事者が欠席した場合に擬制自白が成立しないことがあります。

  • 呼出しが公示送達(159.3.但し)
  • 出席当事者が、準備書面に書いて欠席した相手方に予め知らせてなかった(161.3)
  • 欠席者が争う旨記載した準備書面を提出し、かつ陳述擬制がはたらく場合(158, 277)

1.呼出しが公示送達

公示送達というのは、裁判所の掲示板に、「○○さん、裁判所に出頭してください」と書かれた紙を貼り付けるだけで呼び出したことにされる訳で、普通誰も見ません。従って、被告は出席するわけもなく、こんな状況で自白成立させるとあまりにもかわいそうですよね。

2.相手方に予め知らせてなかった

準備書面というのは、原告が言いたいことが①②③あったとして、それらを記載した書面のことです。予め裁判所と被告に対して準備書面を送る必要があります。その書面に③を書き忘れた場合、当日欠席した相手方は③について知ることはできません。これで自白成立させると被告が気の毒すぎます。

3.準備書面提出し、陳述擬制がはたらく

陳述擬制というのは、陳述したと見なしてくれることです。弁論主義は何事も陳述しなければならないが、欠席したときのセーフティーネットというか、初回だけの特例があります。準備書面を提出してた場合に、初回欠席しても陳述擬制して貰えます。

このケースは争ったとして陳述擬制が働いておりますので、自白は擬製されません。なんかややこしいです。

上記3パターン以外、例えば当事者が単に欠席したとかの場合に擬制自白が成立し得ます。で、この事実が主要事実の場合は証拠として認定せなアカンということになっています。

擬制自白 + 主要事実 → 証拠として認定

この辺は少しややこしいので試験ではよく出されるようで、注意が必要です。

民事保全法における口頭弁論(民事保全法3条)

こんにちは。本日は民事保全法における口頭弁論と決定の理由についてまとめてみます。試験でもポイントとなるところなので取り上げてみます。

まず民事保全法とはなんぞや?ということで簡単に説明してみます。貸付金がなかなか返して貰えないため、支払督促を行ったりすることはよくありますが、あの手この手で逃げようとする債務者がままいます。こういった場合に備えて民事保全法では3種類のやり方が用意されています。

民事保全3種類

  1. 仮差押え
  2. 係争物に関する仮処分
  3. 仮の地位を定める仮処分

それぞれの特徴をまとめてみます。

仮差押命令

  • 金銭支払いの強制執行ができなくなりそうなときに発することができる(20.1)
  • 一般的に貸したカネを返してほしい債権者を想定してください

係争物に関する仮処分命令

  • 債権者が権利を実行できなくなる恐れがあるときに発することができる(23.1)
  • 不動産をもらうことになっていたが、金銭に困った譲渡人がその不動産を売渡そうとしているようなケース

仮の地位を定める仮処分命令

  • 争いがある権利関係について債権者に著しい損害が発生しそうなときに発することができる(23.2)
  • 出版差し止めとか、結構幅広く利用できる

今回は、民事保全法における口頭弁論についてなので、まずはその周辺の条文です。(端折ってますので注意)

口頭弁論の有無について

  • 民事保全の手続きに関する裁判は、口頭弁論を経ないですることができる(3)
  • 仮の地位を定める仮処分命令は、口頭弁論又は債務者が立会うことができる審尋の期日を経る必要がある。但し、目的を達することができない事情があるときはこの限りではない(23.4)

口頭弁論は基本的には不要だが、仮の地位を定める仮処分の時は必要と書かれています。何かを差し押さえたい債権者がおおっぴらに行動すれば、債務者に気付かれて逃げられてしまいます。口頭弁論とか審尋とか必要だすると、債務者に逃げる(というか隠す)時間を与えるようなものです。

仮の地位を定める仮処分の場合、特に債務者にばれても不都合はないため、口頭弁論とか審尋の期日が必要となってます。


決定の理由について

  • 保全命令の申立てについての決定には、理由を付さなければならない。但し、口頭弁論を経ないで決定する場合には理由の要旨で足りる(16)

これ初めて見る人にはよく分からないと思います。保全命令の申立てというのは、裁判所に対して仮処分命令などの「保全命令を発してください」という申立てのことです。

次に申立てについての決定ですが、裁判所が発する判決、決定、命令の3種類あるうちの決定のことです。(命令は裁判長から出されます。試験では要注意。因みに「保全命令」の命令は判決、決定、命令の命令ではありません。とてもややこしいです)つまり、裁判所が保全命令を発すると決めた(発しないと決めた)場合に理由がいると言ってます。

まとめてみますと、

口頭弁論あり:理由がいる

口頭弁論なし:理由の要旨でOK


保全異議と保全取消し

保全異議と保全取消しの違いですが、すごく簡単に言うと保全命令が出たときの状況に文句を言うのか、暫く経って状況が変わった後に文句を言うのかの違いです。今回は口頭弁論周辺についてなので、これくらいにしておきます。

  • 口頭弁論、又は当事者双方が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、保全異議の申立てについての決定ができない(29)
  • 裁判所は、審理を終結する日を決定する。但し、口頭弁論又は当事者双方が立ち会うことができる審尋の期日においては、直ちに終結宣言できる(31)
  • 保全取消しでも同様に準用(40.1)

決定の理由の有無について

  • 16条本文の規定は、保全異議の申立てについての決定において準用する(32.4)
  • 16条本文の規定は、保全取消しの申立てについての決定において準用する(37.8, 38.3, 39.3)

口頭弁論を経ないで・・・以下は準用されていません。つまり理由が絶対いるということになります。

試験でのポイントとしては、下記3点くらいでしょうか。とにかく紛らわしいです。

  • 申立ての時は「債務者が立ち会う」という文言だったのが、異議・取消しの時は「当事者双方」に変わっている
  • 任意的口頭弁論がなくなった(密行性が不要になるため)
  • 決定には理由が必要