所得税と住民税の申告方法を別にしてみる

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こんにちは。3月2日です。確定申告についてここ数日研究していましたが、ようやく本題に近づいてきました。

所得税と住民税の申告方法を別にすることにいよいよチャレンジです。

このブログで何度か書いてきましたが、上場株式の配当所得に関しては、①申告不要、②総合課税、③申告分離課税の申告方式が選択できます。そして、所得税と住民税で異なる方式にすることが可能です。

ただ注意が必要なのは、住民税について②総合課税(実質税率7.2%)を選択することで得になるパターンはありえないということです。住民税の申告書にはどこを見ても、こういったことは書かれていません。どの方式を選択しますかのところにしれっとチェックボックスがあったりします。

ということなので、所得税を②総合課税で選択した場合は、「住民税」をキチンと選択して申告しないとデメリットがあるということになります。

以下、少しだけいろいろなパターンについて書いてみます。勿論、ここに書いているのはあくまでも専門家ではない人間がいろいろ調べた結果なので、詳しくは専門家に確認するようにお願いします。


A.上場株式の損失が無いケース

この場合、以前ブログで書いたように695万円を超えない限り「②総合課税」で配当の確定申告をする場合が多いかと思われます。

住民税は「①申告不要」を選択するのが良さそうです。

「③分離課税」でも税率が同じなので、どちらでもいいように見えますが、「①申告不要」を選択すると所得金額に含まれないのがミソです。

「③分離課税」で申告すると所得金額が増加し、国民健康保険料や保育料などが上がってしまう可能性があるんです。

次はもう少し複合的なケースを考えてみます。


B.上場株式等の譲渡益や配当と譲渡損失を相殺するパターン

繰越してきた損失に対して、所得税と住民税をぶち込んで相殺させる場合です。具体的には次のパターンが考えられます。

  • その年の上場株式等の譲渡益や配当から、前年以前に上場株式等を譲渡したことにより生じた譲渡損失を繰越控除するケース
  • 同じ年で譲渡益と譲渡損失があって損益通算するケース

実はこの先が少し複雑で、さらに場合分けが出来ます。


B-1.損失 ≧ 株式譲渡益・配当の場合

損失が大きいため、株式の譲渡益・配当をぶち込んでもまだ損失が残っている状況です。

相殺するために所得税については株式譲渡・配当ともに「③分離課税」を選択します。勿論、配当については分離課税にして、来年以降に損失の繰越を回すというテクニックも使えますが、ここでは省略します。

この場合、「住民税」も「③分離課税」で申告をしても所得金額は増えないので、改めて申告は必要ないです。


B-2.損失 < 株式譲渡益・配当の場合

所得税については、「株式譲渡のみ③分離課税」のケース、「配当も含めて③分離課税」のケースの2通りあります。また株式譲渡を一度もせずであれば配当だけってこともありますが、ここでは省略します。

株式譲渡の「所得税」は「③分離課税」ですが、配当についての「所得税」は「③分離課税」にするか、「②総合課税」を選択します。

問題は控除仕切れなかった株式譲渡益や配当です。所得税で「③分離課税」を選んでいるため、そのままだと所得が増えてしまうことになります。配当については「③分離課税」ではなく「②総合課税」にしていたら、所得も増えるし住民税の税率も高くなります。

ということで、このケースでは株式譲渡や配当についての住民税は「①申告不要」を選択するのがよさそうです。配当に対する源泉住民税の5%は取り戻すことはできませんが、所得金額は増えませんので、国民健康保険料などの増加を防ぐことができます。

ところで計算式を眺めるとわかるように、相殺後の所得が少額(例として繰越損が100万くらいで配当が120万円とかのケース)の場合は、所得が増えても知れているため、「③分離課税」を選択して住民税還付をした方が有利になることもあります。

損失と相殺した譲渡益・配当(上記例なら100万円)x 5% < 国民健康保険料の増加額となる場合ですね。

ここでは国保を取り上げていますが、児童手当にも影響があります。住民税を「②総合課税」にしていると(ここまで読まれている方にはいないと思いますが)、総所得が増えるので児童手当が少なくなる可能性があります。分離課税でも所得は増えますが、こと児童手当については譲渡所得は別の項目に当たるようで影響はないです。

2019-03-02 | カテゴリー : 税金 | 投稿者 : hiro