こんにちは。本日は譲渡制限株式の譲渡についてです。譲渡制限株式の譲渡については結構広範囲に渡って条文が用意されています。
- 譲渡制限株式を他人へ譲渡しようとするときは、当該他人が取得することについて承認するかどうかを請求できる(136)
- 取得者は取得したことについて承認するかどうかを請求できる(137.1)
- 前項の請求は、譲渡人と譲受人共同でする必要がある(137.2)
買取先を見つけ、承認を求める
譲渡したい株主Aは買い取ってくれる相手を見つけてくるところから始まります。これ、結構大変なことです。非公開会社の株式を持っている株主が持ち株を売却するような状況を考えてみてください。まぁ知らない会社の株なんて買ってくれませんよね。買ってくれるとしたら取引先とかくらいしかないかもしれません。
Aは買取先Bを見つけた時点で、請求することもできますが、譲渡後はAB共同で請求します。Bからだけの請求だといかにも怪しいですからね。(但し、利害関係人の利益を害する恐れがなければ単独でも可能です。)
譲渡承認の決定
会社が譲渡承認してくれたらそれで終了です。
- 承認を決定するのは取締役会、取締役会がなければ株主総会(普通決議)です。定款に別段の定めOK(139.1)
不承認を決定されたらどうなるのか?
会社による買取決定、又は指定買取人の指定
実は譲渡承認を求めるときに、譲渡承認してくれなかったら買い取ってくれ、あるいは買取人を指定してくれということができます。
- 譲渡承認をしない旨の決定をする場合に、当該会社又は指定買取人に買い取ってほしいと請求したいときはその旨を明らかにしておく(138.1.ハ)
これらは、譲渡したい側からの準備になります。その段階を踏んでいると、会社側としては、買い取るか指定買取人を指定する必要があります。
- 買取請求を受けた場合に、譲渡承認をしないなら、買い取らねばならない(140.1)
- 買取事項の決定は株主総会(特別決議)(140.2)
- 買取人を指定することができる(140.4)
- 指定は、取締役会、取締役会がなければ株主総会(特別決議)です。定款に別段の定めOK(140.5)
実は、譲渡制限の株式でも手続きをしっかりとやっていれば、会社が買い取ってくれるんですね。
試験で注意するポイントとしては、
- 譲渡承認してくれ:普通決議、取締役会、定款に別段
- 買い取ってくれ:特別決議
- 買取人を指定してくれ:特別決議、取締役会、定款に別段
のように決議機関が微妙に違っていることです。