会社法を勉強していると株主総会決議に関する訴えのところが結構混乱させられます。下記3つあります。
- 取消しの訴え
- 無効確認の訴え
- 不存在確認の訴え
このうち、不存在確認は決議が存在しないことが理由なのでわかりやすいですね。
問題は取消しの訴えと無効確認の訴えの違いです。
取消しの訴え(一応有効だけど、取消せる)
- 招集の手続きまたは決議方法が法令もしくは定款違反、または著しく不公正
- 決議内容が定款違反
- 特別の利害関係を有するものが議決権を行使したことにより著しく不当な決議がされた
無効確認の訴え
- 決議内容が法令違反
流れを模式化してみます。
会社
↓(①招集方法)
- これが違法・定款違反なら取消し対象
株主総会
↓(②決議方法)
- これが違法・定款違反なら取消し対象
決議結果(③決議の内容)
- これが違法なら無効
- 定款違反なら取消し対象
- 特別の利害関係を有するものが議決権を行使したことにより著しく不当な決議がされた場合も取消し対象
つまり、決議結果が違法なのは当然無効だが、その道中がいろいろ問題があっても一応有効で、取消し対象になるにすぎないということですね。
ところで著しく不公正ってのはどういうことでしょうか。裁判所は違反事実が重大ではなく、かつ、決議に影響を及ぼさないものであると認めるときは請求棄却可能(会社法831.2)となってます。
つまり反対から読むと、
- 上記①②の違反が重大である、あるいは
- ③に影響している
この場合には請求棄却されない(取消し対象の土台に載る)ということになります。
実際の所、重大かどうかは判断が難しいのではないかと思われるので、決議に影響を与えているかどうかにかかってくるような気もします。著しく不公正というのは、「決議結果への影響度合いが大きい」ということになるでしょうか。
紛らわしいのですが、著しく不当な方法で招集されたり、決議されたりしたとしても、決議内容に影響する度合いが低ければ、著しく不公正ということにはならないため、取消し対象にならない。
当然ですが、著しく不当な決議となれば取消し対象になる。
なんか言葉遊びのような気もしますが、この辺り試験問題でも突いてくるところなので要注意です。