空き家の悩み

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処分に困る空き家対策
 ~空家オーナー必見!

温泉イメージ

先日ブログにも書きましたが、東京都の行政書士会の研修で空き家問題が取り上げられました。ただ行政書士会としては条例を制定する側(市町村)に対する法律家としてのコンサルという行政寄りのスタンスであり、実際に空き家を抱えている人をどうサポートしていくかという感じではありませんでした。(2017年9月)

当事務所がある新宿区は大都市の一部ではありますが、少し大通りから外れたところは閑静な場所もありますし、少し駅から離れた古い街並みの中には空き家らしきものを見かけることがあります。また「相続に絡んで空き家(というか土地)を処分したいがどうしたらいいでしょうか?」という相談もあり、意外と身近な問題だということを感じます。

自分自身も大家さんであるので空き家についてはとても人ごとではない問題でありますし、ここでまとめておこうと思います。

空き家となるケースで一番多いのが、人口減少に伴う実家問題です。

総務省が実施した住宅・土地統計調査(平成25年)によると、全国で空き家の数は820万戸、総住宅数の13.5%が空き家だということです 。


空き家が増えている要因は何か?

空き家が増えてきたのは、使わなくなった住宅が、そのままにされていることが原因だと考えられます。日本ではマンションならまだしも戸建ての中古というのは聞いたことがないくらい市場がありません。そもそも戸建て物件は木造が殆どで耐用年数も短く、中古で売買するつもりは最初からないんでしょうね。また税制度の問題、解体費用の問題などもあるかも知れません。

空き家となっている理由を考える上で、投資用のアパートを購入するに当たってのいくつかの注意点がそのまま当てはまりますので、それを説明します。

立地
これは駅から近いかというよりも、そのエリアの人口が増えているのかということが大きいです。
アパート経営で大変なのが、入居率の低下を如何に食い止めるかですが、人口が増えているとそれだけでかなりのアドバンテージになります。勿論、車社会のエリアだと駅からの距離は関係ありませんが、その場合はどうして人口が増えているのかを考えておく必要があります。大きな工場があるのかという場合が多いと思いますが、1つだけだとその工場の移転リスクがありますね。
これと空き家問題は根本的に同じです。つまり、空き家になっているのは立地が悪いからです。そもそも人口も減りつつある中、中心の駅前などで再開発がありマンションでも建ったりすれば、わざわざ不便な郊外を選択する人はありません。
内装工事・大規模修繕費用
マンションでもアパートでも入居者が変われば、壁紙を貼り替えたり、水回りを修理したりする費用が発生します。また数年に1度は大規模修繕をする必要があります。これ結構馬鹿になりません。修繕をしなければ新たな借りても見つかりにくくなり、結局自分の首を絞めることになります。壁は撤去して一つの部屋を大きくしたりできるのですが、どうしようもないのが天井の高さです。古い建物は天井が低いことが多いのですが、こればかりはどうしようもないです。
つまり、空き家を貸そうにも費用が発生するし、天井が低いのはどうしようもないです。解体するにも費用が発生します。
アパート経営の場合、解体費用などは経費とできますが、空き家対策として空き家を相続した場合など、ちょっと困ってしまいますよね。補助金を出している自治体もあるようですが。
税金の問題
アパートの大家でも固定資産税・都市計画税がかかってきます。結構馬鹿になりません。また住宅を貸す場合に消費税は貰うことが出来ません。アパートを借りたことがある方なら分かると思いますが、住居を借りる場合には消費税はかかりません。家賃10万円の部屋だからといって10万8000円払うことはありません。因みに駐車場を借りるときは消費税発生します。借り手側を保護する制度なのですが、貸し手側からするとこれはきついです。修繕費用には消費税がかかるんですね。住居用だからといって負けてくれません。
固定資産税・都市計画税は空き家だろうと発生します。不動産を所有していることでかかる税金です。しかし、住宅が建っている場合は特例として、かなり減額されています。
これが大きいため、空き家が取り壊されず放置されるということが発生します。
ただ平成27年度から少し変更になりました。特定空き家(適切に管理されていない空き家)の指定を受けた建物に対しては、税の軽減の特例はなくなります。

空家を抱えている場合どうするか?



ご自身でも空き家を抱えている、あるいは遠くない将来に空き家を抱えそうだという方もいらっしゃると思います。さらに、今現在どうしたらいいのか悩んでいる、あるいは先延ばしにしていて何もしていないというケースも多いと思います。ここでは、空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)の施行を受けて、どうなるのかということをまとめてみます。

特定空家とは?
空家法(空家等対策の推進に関する特別措置法)に次のように定義されています。
特定空家等の認定(2条2項)
そのまま放置すれば、
  • 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
  • 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
適切な管理が行われていないことにより、
  • 著しく景観を損なっている状態
  • その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
建築基準法10条を参考にしたとのことですが、「おそれ」という文言が追加されています。 少し曖昧な部分があるので自治体によって数値化していたり、いろいろな基準を設けているようです。
実際に認定の手続きをどのようにやるのか?
これについては上智大学の北村先生の調査によると大きく2タイプに分かれるそうです。
  • 庁内メンバーによるタイプ
  • 付属金(法7条協議会、独自の組織)によるタイプ
いずれにしてもこれについては空き家を抱えている側にとっては特に問題はないと思います。

空家対策コンサルは、行政書士緒方ひろし事務所へお任せ下さい
☎03-5291-5305/e-mail: お問い合わせ
(電話受付 10:00 ~ 17:00 平日)


認定されたらどうなるか?

特定空家に認定されると、所有者が分かっているか不明かによって流れが変わりますが、おおよそ次のようになります。

所有者が分かっている場合(所有者不明の場合は割愛します)
  • 助言・指導(14条1項)
  • 勧告(2項)
  • 命令(3項)
  • 代執行(9項)
この代執行というのは、聞き慣れない言葉かも知れません。簡単にいうと、所有者に変わって自治体が空き家を壊し、その費用を所有者に請求するものです。また代執行までの流れですが、自治体によってスタンスが違っているようです。
  • 認定すると代執行まで一気にいく自治体
  • 認定すれども行政指導重視して代執行まではゆっくりする自治体
ここで、空き家を抱えている側にとって非常に重要なポイントがあります。代執行まで進まずとも、勧告がされたまま1月1日を迎えると「住宅用地特例」が適用除外されるということです。固定資産税の減免措置がなくなるということです。
かなり乱暴な言い方ですが、その年から税金が6倍にふくれあがる可能性があるわけです。
勧告は不利益処分なのか?
不利益に繋がるため不利益処分では無いかとも思われますが、国土交通省の立場は「処分ではない」とのことです。裁判で争うとどうなるかわかりませんが、裁判では実質的に不利益を被るなら処分性が認められる傾向があるので、処分性が認められるかも知れません。
このあたりは法律的な問題になってきますので、専門家に任せるしかないですが、いずれにしても勧告を受けるということも念頭において対策を考えておく必要があります。

認定される前にできることは何か?



特定空家の定義は上に書いたとおりですが、これに該当しなければ特に問題はありません。

最終的に売却するなり、建物を建て替えや修繕して賃借するなりになるとしても、どのような将来設計をするのか計画を立てて実行するまでに日数も必要となります。それまでに行政側で認定が進まないとも限りません。現状が廃屋に近ければ草むしりや緊急の手入れなどが必要です。

  • 民泊にしてみるのもよし
  • 更地にして売却するもよし
でも計画して実行するまでには時間が必要です。当面の対策を含めて一緒に検討していきましょう。

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