遺留分の計算(民法1029条)

おはようございます。昨日は相続分の計算について、特別授与がどうなるのかについて書きましたが、本日は遺留分について書いてみます。

まずは遺留分の計算方法ですが、これはいろいろなサイトなどに書かれていると思うのでさらっというと、相続分の半分です。(すごく乱暴ですが)

遺留分算定基礎額における特別授与

  • 遺留分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除して、これを算定する(1029.1)

まとめると次のようになります。(比較するために相続財産も記載してます)

相続財産 = 死亡時の財産 + 特別受益額

遺留分算定基礎額 = 死亡時の財産 + 贈与 – 死亡時の債務

死亡時の債務というのが控除されていますが、だいたい相続財産の計算と同じです。


贈与について

贈与と特別受益の違いが気になると思います、贈与について条文には次の通り書かれております。

  • 贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する(1030前半)
  • 当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする(1030後半)
  • 遺留分権利者は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び前条に規定する贈与の減殺を請求することができる(1031)

つまり、遺留分算定の基礎における贈与とは次のようになります。

  • 死亡の1年前から死亡時までにしたものが対象
  • 当事者双方が遺留分のある相続人に損害を加えることを知っていた場合は遡る
  • 遺贈は贈与に含まれる

特別受益の扱い

相続分の計算では特別受益の対象となる贈与はどこまでも遡りました(昨日のブログ参照)。相続人間の公平という観点からするとよく分かります。一方、遺留分の方は、遡れるのが1年前までの贈与となります。あんまり昔のことを言われてもという感じでしょうか。

おまけですが、他に注意するポイントは、

  • 遺留分の権利者が亡くなった後、承継人でもできる
  • 遺贈は、その目的の価額の割合に応じて減殺する。但し、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う(1034)

相続分の計算(民法903条)

おはようございます。本日は、相続分の計算と遺留分の計算の相違です。相続分や遺留分の具体的計算方法については、いろいろなサイトに書かれていますが、「あれ?どうしてそうなるのか?」とか、「どっちがどっちだっけ?」、となることがあるようなので、どうしてそうなるのかを中心に考えたいと思います。

特に問題として取り上げたいのが、特別受益者が受け取った受益分です。

特別受益

まず特別受益とは何か?条文から引用してみます。

  • 共同相続人中に、被相続人から遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者(特別受益者)があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなす(903.1前半)

長々と書かれていますが、要するに「婚姻とか生計の資本として贈与を受けていたもの」が特別受益者となり、受け取ったそのものが特別受益になります。


特別受益者の例:

  • 婚姻のお祝いとして親父から援助を受けていた兄A
  • 生活が苦しくて親父から援助を受けていた弟B

相続財産

さて、それでは相続財産はどうなるのでしょうか。まず条文です。

  • 特別受益者は、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする(903.1後半)

まとめると次のようになります。

相続財産 = 死亡時の財産 + 上記特別受益額

つまり、親父が亡くなったときの財産をベースにするのではなくて、結婚祝いで兄がもらった分や、生活援助を受けていた弟の分を考慮しましょうということです。でないと、何ももらっていない娘がかわいそうですからね。

氏の変更について(民法791条)

おはようございます。本日は氏の変更についてです。通常、子は父母の氏を称しますが、離婚や非嫡出子のように父母と違う氏を称することがあります。

父母が離婚した場合の子の氏

これ条文がありません、ということは変わらないということです。婚姻中の氏がそのまま子の氏として継続されます。

例として、磯野さんとフグ田さんが結婚してフグ田を名乗っていたが、離婚したと考えてください。サザエさんは磯野サザエに戻りますが、タラちゃんはフグ田タラオのままということです。

一般的に日本では、婚姻すると夫の氏を称することが多いですし、また、離婚すると母親が子供の親権者になることが多いです。

特に何もしないと母と子の氏が異なった状態になりますが、そういう家庭はあんまり見かけませんよね。だいたいは、子と違う氏になることを嫌う母親が、旧姓に復氏した後に届出をして婚姻中の氏に戻すそうです。子の氏を母親に合わせるというのはかなりハードルが高いので、そのようにするみたいです。

子の氏の変更

  • 子が父又は母と氏を異にする場合、家庭裁判所の許可を得て、届け出によって、父又は母の氏を称することができる(791.1)

父母が養子になった場合の子の氏

これも条文がありません、ということで氏はそのままということです。

例えば、鈴木さん(夫)と佐藤さん(妻)が結婚して鈴木を名乗っていたとします。あるとき、鈴木さん(夫)が脱サラをして妻の父親である政治家の地盤を引き継いだと考えてください。だいたいこの場合は佐藤家に養子に入ります。この場合、両親は佐藤ですが、子の氏は鈴木のままです。でもちょっと違和感を感じることが多く、多くの場合は子の氏を変更しています。

氏の変更

  • 父又は母が氏を改めたことにより子が父母と氏を異にする場合、子は、父母の婚姻中に限り、前項の許可を得ないで、届け出によって、その父母の氏を称することができる(791.2)

まとめると、

原則:家庭裁判所の許可 + 届け出

例外:届け出のみ(父母が婚姻中且つ、父母と氏が違う)

試験ではもう一つ重要なことがあります。

  • 1項~3項によって氏を改めた未成年の子は、成人に達したときから1年以内に届け出によって、復氏できる(791.4)

親権者の変更について(民法819条)

おはようございます。本日は親権者の変更についてまとめてみます。通常、父母が共同親権者となりますが、離婚やそもそも非嫡出子の場合などでは親権者は一人だけになります。この辺りの条文から(端折っていますので注意ください)

離婚した場合の親権者

  • 協議離婚をするときは、その協議で一方を親権者と定めねばならない(819.1)
  • 裁判上の離婚の場合には、裁判所が親権者を定める(819.2)
  • 子の出生前に父母が離婚した場合、母が親権者となる(819.3)

ここまではわかりやすいですね。(たぶん試験にも出ません。)それではこの状況からもう一方への変更はどうなるでしょうか?


親権者の変更

  • 出生前に父母が離婚した場合、出生後に父母の協議で父に変更できる(819.3但し)
  • 父が認知した場合、父母の協議で父を親権者と定めたら父が行う(819.4)
  • 子の利益のため必要あれば、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更できる(819.6)

協議だろうが裁判上だろうが離婚時にどちらかに定められた場合(注1)には、もはや父母の協議では変更できません。この場合は家庭裁判所の審判が必要になります。

  1. 定められないケースがあるということではなく、どちらかに定められます

子の出生時に母だけだったとか、婚姻外で出産した非嫡出子のように、当然に母が親権者になっていた場合のみ、父母の協議でも変更できるということです。一度も父母で協議をしていなかったので、一度限りは協議を許してやろうということなんでしょうか。

まとめると、

協議有り:父母の協議で変更不可能

協議無し:父母の協議で変更可能

次回は氏の変更について書いてみます。通常、子は父母の氏を称しますが、離婚や非嫡出子のように父母と違う氏を称することがあります。

譲渡制限株式の譲渡(会社法136条)

こんにちは。本日は譲渡制限株式の譲渡についてです。譲渡制限株式の譲渡については結構広範囲に渡って条文が用意されています。

  • 譲渡制限株式を他人へ譲渡しようとするときは、当該他人が取得することについて承認するかどうかを請求できる(136)
  • 取得者は取得したことについて承認するかどうかを請求できる(137.1)
  • 前項の請求は、譲渡人と譲受人共同でする必要がある(137.2)

買取先を見つけ、承認を求める

譲渡したい株主Aは買い取ってくれる相手を見つけてくるところから始まります。これ、結構大変なことです。非公開会社の株式を持っている株主が持ち株を売却するような状況を考えてみてください。まぁ知らない会社の株なんて買ってくれませんよね。買ってくれるとしたら取引先とかくらいしかないかもしれません。

Aは買取先Bを見つけた時点で、請求することもできますが、譲渡後はAB共同で請求します。Bからだけの請求だといかにも怪しいですからね。(但し、利害関係人の利益を害する恐れがなければ単独でも可能です。)


譲渡承認の決定

会社が譲渡承認してくれたらそれで終了です。

  • 承認を決定するのは取締役会、取締役会がなければ株主総会(普通決議)です。定款に別段の定めOK(139.1)

不承認を決定されたらどうなるのか?

会社による買取決定、又は指定買取人の指定

実は譲渡承認を求めるときに、譲渡承認してくれなかったら買い取ってくれ、あるいは買取人を指定してくれということができます。

  • 譲渡承認をしない旨の決定をする場合に、当該会社又は指定買取人に買い取ってほしいと請求したいときはその旨を明らかにしておく(138.1.ハ)

これらは、譲渡したい側からの準備になります。その段階を踏んでいると、会社側としては、買い取るか指定買取人を指定する必要があります。

  • 買取請求を受けた場合に、譲渡承認をしないなら、買い取らねばならない(140.1)
  • 買取事項の決定は株主総会(特別決議)(140.2)
  • 買取人を指定することができる(140.4)
  • 指定は、取締役会、取締役会がなければ株主総会(特別決議)です。定款に別段の定めOK(140.5)

実は、譲渡制限の株式でも手続きをしっかりとやっていれば、会社が買い取ってくれるんですね。

試験で注意するポイントとしては、

  • 譲渡承認してくれ:普通決議、取締役会、定款に別段
  • 買い取ってくれ:特別決議
  • 買取人を指定してくれ:特別決議、取締役会、定款に別段

のように決議機関が微妙に違っていることです。

株主への利益供与(会社法120条)無過失責任③

こんにちは。というより、こんばんはの時間になってしまいました。本日は株主への利益供与についてです。まずは条文から(端折ってますので注意)

株主等の権利の行使に関する利益供与

  • 株式会社は、何人に対しても、株主の権利(中略)の行使に関し、財産上の利益供与をしてはならない(120.1)
  • 1項に違反して、財産上の利益供与をしたときは、当該利益の供与を受けた者は、これを返還しなければならない(120.3)
  • 1項に違反して、財産上の利益供与をしたときは、当該利益供与をすることに関与した取締役は、当該会社に対して連帯して、供与した利益価額相当額を支払う義務を負う。但し、その者(本人を除いて)が、注意を怠らなかったことを証明したらこの限りではない(120.4)

会社法の条文は長いのでちょっと読みにくいですが、要するに、

  • 株主に利益供与をするな
  • 利益を受けた者は返還しろ
  • 張本人は無過失責任(サポートした奴は過失責任)

いままで書いてきた無過失責任をまとめてみます。ついでに総株主の同意による全部免除の可否も記載しておきます。

  • 現物出資が著しく不足した場合の当該発起人(不可能)
  • 会社と直接取引した当該取締役(可能)
  • 株主への利益供与した当該取締役(可能)

自白と証拠について

こんにちは。本日は民事訴訟法の自白と証拠について書いてみます。

民事訴訟法は弁論主義を採用しており、3つの原則があります。

  1. 主要事実について当事者の提出責任(当事者が主張しない主要事実は判断してくれない)
  2. 自白の拘束力(裁判上自白が成立した主要事実を判決の基礎としなければならない)
  3. 職権証拠調べ禁止(当事者が提出した証拠によって認定しなければならない)

簡単に言ってしまうと、裁判所は双方から出されたものを吟味して判断するだけであり、裁判所が自ら証拠を発掘してくれたりしません。何も主張しなければ負けということですね。


それはおいておいて、今回は自白です。(いついつまでに主張とか細かい規定があるのですが、今回その辺りは省略してますので注意)

自白の成立

自白が成立すると不要証事実となります。つまり、実際にその事実があったということになり、証明はいりません。例え裁判官が、「おかしいな、そんなことってないよな~」と思っていたとしても、関係ありません。事実として認定されます。

擬制自白とは

読んで字のごとく、当該事実を裁判上自白したものとみなされることです。相手が主張した事実について争わなかったりすると自白が擬製されます。但し、当事者が欠席した場合に擬制自白が成立しないことがあります。

  • 呼出しが公示送達(159.3.但し)
  • 出席当事者が、準備書面に書いて欠席した相手方に予め知らせてなかった(161.3)
  • 欠席者が争う旨記載した準備書面を提出し、かつ陳述擬制がはたらく場合(158, 277)

1.呼出しが公示送達

公示送達というのは、裁判所の掲示板に、「○○さん、裁判所に出頭してください」と書かれた紙を貼り付けるだけで呼び出したことにされる訳で、普通誰も見ません。従って、被告は出席するわけもなく、こんな状況で自白成立させるとあまりにもかわいそうですよね。

2.相手方に予め知らせてなかった

準備書面というのは、原告が言いたいことが①②③あったとして、それらを記載した書面のことです。予め裁判所と被告に対して準備書面を送る必要があります。その書面に③を書き忘れた場合、当日欠席した相手方は③について知ることはできません。これで自白成立させると被告が気の毒すぎます。

3.準備書面提出し、陳述擬制がはたらく

陳述擬制というのは、陳述したと見なしてくれることです。弁論主義は何事も陳述しなければならないが、欠席したときのセーフティーネットというか、初回だけの特例があります。準備書面を提出してた場合に、初回欠席しても陳述擬制して貰えます。

このケースは争ったとして陳述擬制が働いておりますので、自白は擬製されません。なんかややこしいです。

上記3パターン以外、例えば当事者が単に欠席したとかの場合に擬制自白が成立し得ます。で、この事実が主要事実の場合は証拠として認定せなアカンということになっています。

擬制自白 + 主要事実 → 証拠として認定

この辺は少しややこしいので試験ではよく出されるようで、注意が必要です。

民事保全法における口頭弁論(民事保全法3条)

こんにちは。本日は民事保全法における口頭弁論と決定の理由についてまとめてみます。試験でもポイントとなるところなので取り上げてみます。

まず民事保全法とはなんぞや?ということで簡単に説明してみます。貸付金がなかなか返して貰えないため、支払督促を行ったりすることはよくありますが、あの手この手で逃げようとする債務者がままいます。こういった場合に備えて民事保全法では3種類のやり方が用意されています。

民事保全3種類

  1. 仮差押え
  2. 係争物に関する仮処分
  3. 仮の地位を定める仮処分

それぞれの特徴をまとめてみます。

仮差押命令

  • 金銭支払いの強制執行ができなくなりそうなときに発することができる(20.1)
  • 一般的に貸したカネを返してほしい債権者を想定してください

係争物に関する仮処分命令

  • 債権者が権利を実行できなくなる恐れがあるときに発することができる(23.1)
  • 不動産をもらうことになっていたが、金銭に困った譲渡人がその不動産を売渡そうとしているようなケース

仮の地位を定める仮処分命令

  • 争いがある権利関係について債権者に著しい損害が発生しそうなときに発することができる(23.2)
  • 出版差し止めとか、結構幅広く利用できる

今回は、民事保全法における口頭弁論についてなので、まずはその周辺の条文です。(端折ってますので注意)

口頭弁論の有無について

  • 民事保全の手続きに関する裁判は、口頭弁論を経ないですることができる(3)
  • 仮の地位を定める仮処分命令は、口頭弁論又は債務者が立会うことができる審尋の期日を経る必要がある。但し、目的を達することができない事情があるときはこの限りではない(23.4)

口頭弁論は基本的には不要だが、仮の地位を定める仮処分の時は必要と書かれています。何かを差し押さえたい債権者がおおっぴらに行動すれば、債務者に気付かれて逃げられてしまいます。口頭弁論とか審尋とか必要だすると、債務者に逃げる(というか隠す)時間を与えるようなものです。

仮の地位を定める仮処分の場合、特に債務者にばれても不都合はないため、口頭弁論とか審尋の期日が必要となってます。


決定の理由について

  • 保全命令の申立てについての決定には、理由を付さなければならない。但し、口頭弁論を経ないで決定する場合には理由の要旨で足りる(16)

これ初めて見る人にはよく分からないと思います。保全命令の申立てというのは、裁判所に対して仮処分命令などの「保全命令を発してください」という申立てのことです。

次に申立てについての決定ですが、裁判所が発する判決、決定、命令の3種類あるうちの決定のことです。(命令は裁判長から出されます。試験では要注意。因みに「保全命令」の命令は判決、決定、命令の命令ではありません。とてもややこしいです)つまり、裁判所が保全命令を発すると決めた(発しないと決めた)場合に理由がいると言ってます。

まとめてみますと、

口頭弁論あり:理由がいる

口頭弁論なし:理由の要旨でOK


保全異議と保全取消し

保全異議と保全取消しの違いですが、すごく簡単に言うと保全命令が出たときの状況に文句を言うのか、暫く経って状況が変わった後に文句を言うのかの違いです。今回は口頭弁論周辺についてなので、これくらいにしておきます。

  • 口頭弁論、又は当事者双方が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、保全異議の申立てについての決定ができない(29)
  • 裁判所は、審理を終結する日を決定する。但し、口頭弁論又は当事者双方が立ち会うことができる審尋の期日においては、直ちに終結宣言できる(31)
  • 保全取消しでも同様に準用(40.1)

決定の理由の有無について

  • 16条本文の規定は、保全異議の申立てについての決定において準用する(32.4)
  • 16条本文の規定は、保全取消しの申立てについての決定において準用する(37.8, 38.3, 39.3)

口頭弁論を経ないで・・・以下は準用されていません。つまり理由が絶対いるということになります。

試験でのポイントとしては、下記3点くらいでしょうか。とにかく紛らわしいです。

  • 申立ての時は「債務者が立ち会う」という文言だったのが、異議・取消しの時は「当事者双方」に変わっている
  • 任意的口頭弁論がなくなった(密行性が不要になるため)
  • 決定には理由が必要

遺言の証人と遺言執行者(民法974条、1009条)

こんにちは、本日は遺言の周辺知識についてです。

遺言にはいくつか種類がありますが、その中で一番オススメというか利用してほしいのが公正証書遺言です。その公正証書遺言の証人・立会人についてまとめてみます。

遺言の証人・立会人の欠格事由(974)

  • 未成年
  • 推定相続人・受遺者(+これらの配偶者+直系血族)
  • 公証人の配偶者(+4親等内の親族)、書記、使用人

推定相続人とは、遺言書を作成した時点で最先順位の相続人のことです。親族というのは血族6親等、姻族3親等です。実際によくあるパターンでまとめてみます。

配偶者B、子供Cがいる場合

  • BとCが該当します

配偶者B、子供なし、母親Dがいる場合

  • BとDが該当します

配偶者B、子供なし、父母なし、兄弟Eがいる場合

  • BとEが該当します。

これらの人は遺言の証人になれませんし、その配偶者もなれません。影響が大きいからです。

ここで直系血族という言葉が出てきました。配偶者と子供がいる場合を考えてみましょう。このときBの直系血族、Cの直系血族は若干被りますが、いわゆる親戚の中で該当しない人がでてきます。子供Cからみると父方の叔父さんとか母方の伯母さんとかです。その人たちってなんかものすごく利害関係人に見えますが、大丈夫なんですね。特に公証人の方が4親等の親族なので紛らわしいです。


さて、遺言ができれば次は遺言の執行になりますが、実際に遺言執行者を別に定めることもあるかと思います。そちらの欠格事由についてもまとめてみます。

遺言執行者の欠格事由(1009)

  • 未成年
  • 破産者

こちらはあっさりとしていますね。実際にきまった遺言書通りに執行するだけなのでこのような感じになっていると思います。

試験で注意するポイントとしては、

  • 破産者でも遺言の証人にはなれる
  • 被相続人の兄弟でも証人になれる(かなり大胆に書いてます、なれない場合もあるので注意。条文通りに覚えてください。)
  • 直系血族と4親等を混同しない

持分会社の競業・利益相反(会社法594条、595条)

おはようございます。前回は株式会社の取締役についての競業・利益相反でしたが、今回は持分会社を取り上げてみます。合同会社を設立するケースが増えているのもありますし、違いを念頭に書いてみます。まずは条文から

競業の禁止

  • 業務執行社員は、その本人以外の社員全員の承認を受けなければ次に掲げる行為をしてはならない(594.1)
    1. 自己又は第三者のために持分会社の事業の部類に属する取引をすること
    2. 同種の事業を目的とする会社の取締役などになること
  • 業務執行社員が前項規定に違反して、同項1号の行為をした場合、持分会社に生じた損害の額と推定(594.2)

利益相反取引の制限

  • 業務執行社員は次に掲げる場合には、その本人以外の社員の過半数の承認を受けねばならない(595.1)
    1. 業務執行社員が自己又は第三者のために持分会社と取引をする
    2. 持分会社が業務執行社員の債務を保証、その他利益相反取引をする

取締役との違い

持分会社において競業は社員全員、利益相反の場合は社員の過半数と書かれており、会社法は競業の方が罪が重いという考えを持っている印象を受けます。

一方、株式会社はどうでしょうか?基本的に取締役会設置会社なら取締役の決議、非設置会社なら株主総会の決議なのでどちらも同じです。ただし、株式会社の場合は本人なら無過失責任という条文(428)がありますので、もしかしたら会社法は直接取引の方が罪が重いという考えを持っているのではないでしょうか。

利益相反した場合の違反の効果

ところで595条には違反した場合について明文規定がありません。実務上は判例などによることになると思いますが、試験では出ないはず(出せないと思う)です。

試験で注意するポイントとしては、

  • 株式会社と違い、持分会社の場合は競業の方が要件が厳しい
  • 但し、持分会社の場合は定款の別段の定めができるので注意