持分会社の競業・利益相反(会社法594条、595条)

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おはようございます。前回は株式会社の取締役についての競業・利益相反でしたが、今回は持分会社を取り上げてみます。合同会社を設立するケースが増えているのもありますし、違いを念頭に書いてみます。まずは条文から

競業の禁止

  • 業務執行社員は、その本人以外の社員全員の承認を受けなければ次に掲げる行為をしてはならない(594.1)
    1. 自己又は第三者のために持分会社の事業の部類に属する取引をすること
    2. 同種の事業を目的とする会社の取締役などになること
  • 業務執行社員が前項規定に違反して、同項1号の行為をした場合、持分会社に生じた損害の額と推定(594.2)

利益相反取引の制限

  • 業務執行社員は次に掲げる場合には、その本人以外の社員の過半数の承認を受けねばならない(595.1)
    1. 業務執行社員が自己又は第三者のために持分会社と取引をする
    2. 持分会社が業務執行社員の債務を保証、その他利益相反取引をする

取締役との違い

持分会社において競業は社員全員、利益相反の場合は社員の過半数と書かれており、会社法は競業の方が罪が重いという考えを持っている印象を受けます。

一方、株式会社はどうでしょうか?基本的に取締役会設置会社なら取締役の決議、非設置会社なら株主総会の決議なのでどちらも同じです。ただし、株式会社の場合は本人なら無過失責任という条文(428)がありますので、もしかしたら会社法は直接取引の方が罪が重いという考えを持っているのではないでしょうか。

利益相反した場合の違反の効果

ところで595条には違反した場合について明文規定がありません。実務上は判例などによることになると思いますが、試験では出ないはず(出せないと思う)です。

試験で注意するポイントとしては、

  • 株式会社と違い、持分会社の場合は競業の方が要件が厳しい
  • 但し、持分会社の場合は定款の別段の定めができるので注意