本年分で差し引く繰越損失額ってなに?

こんにちは。確定申告に「やよい」を使っているのですが、申告診断ステップ4でいくつか詰まっています。

「本年分で差し引く繰越損失額」というところです。

やよいの解説コメント読んでもよく分からないので、確定申告ページの説明を読んでみたところ次のように書かれています。

前年分から繰り越された損失額を、総所得金額などから差し引く場合で、翌年以後に繰り越す損失額がないときに、その差し引く繰越損失額を記入します。

    • 第4表を使用する方は、この欄は記入しない
    • 株式等の譲渡所得等、申告分離課税の上場株式等の配当所得等及び先物取引の雑所得等から差し引く繰越損失額は、この繰越損失額に含めない

分かったような、分からないような・・・。特にこの最後のコメントがよく分からない。どうも以下の3つは含めないって読めます。

  • 株式等の譲渡所得等
  • 申告分離課税の上場株式等の配当所得等
  • 先物取引の雑所得等から差し引く繰越損失額

つまり上記の3つについては総合課税ではないので、書いたらアカンよってことですかね。

本文に「総所得金額から差し引く場合」と書かれているところから推測すると、総所得とは別のものである分離課税の株式譲渡所得などは含まないということですね。

配当所得は総合課税の場合には総所得に含まれますが、「株式譲渡損」は分離課税分なのでそもそも繰り越した損失額には含まれないと考えることになるんですかね?

いずれにしても総所得に関係するもので、繰り越してきた損失ってのがないので、この欄は記入しなくて良いのではないかと思われます。

それにしても「総所得」って用語は、一般人にとっては株式譲渡の所得も含みそうに感じます。非常にわかりにくい。とてもわかりにくい。

分からなくても良いのですが、分からないと損をする。損をしていたとしても税務署は教えてくれない。その逆は積極的に指摘がはいりますが・・・。やよいの説明も不十分ですね。この手の説明は本職の方ではない素人が書かれた方がわかりやすいような気がします。


配当所得は前回ブログで書いたように確定申告する方法が2種類あります。繰り越した株式の譲渡損を今年度の株式の譲渡益で消し込むに当たってもこの2種類が使えるところに複雑さがあるように思います。

つまり、株式の譲渡損を消し込むに当たって、

  1. 株式の譲渡益を使う
  2. 株式の譲渡益と配当を使う

方法があるわけです。

この後者の「配当を使う」なのですが、あくまでも使うことが出来るという意味であり、必ず使わねばならないということではありません。「使う」「使わない」は選択可能なんです。一部だけ使うというのはダメですけど。

これ、確定申告書の付表1面をよく読むとそう書かれています。

譲渡損が大きくて、配当を全部入れ込んでもまだ損が残っているというケースに使うことになるかと思います。

譲渡損が大きくても、入れ込まないことも出来ます。住宅ローンの税額控除がある場合などに、その控除を全部使い切りたいなというケースですね。このとき配当はどうなるかというと、総合課税なり、分離課税なりすることになります。それにしても住宅ローンの控除も繰り越しできたらいいのにね。

これについてはどれを選択するのが一番有利なのかをシミュレーションして選択することをオススメします。ただ、ここで所得税にばかり目を奪われていると住民税が大変なことになるので、注意が必要です。このブログでもしばしば住民税について言及しているように本当に大変なことになります。

私はこの領域に否応なく入り込んでしまいましたが、この辺りは特殊なケースなので、専門家に相談されるのが一番だと思います。

2019-02-28 | カテゴリー : 税金 | 投稿者 : hiro

配当控除を受けるとお得なケースとは?

おはようございます。確定申告の期間に入っています。ここのところ急に忙しくなりなかなか時間を取れなかったのですが、確定申告の時期は決まっており2月中には片をつけたいと思ってまとめることにしました。

日常の仕分けなどはいいのですが、株式売買と配当金の処理が大変です。そのままほかっていても問題ないですが、税金が結構高いんですよね。何とかしようと思って毎年四苦八苦してます。

株式をお持ちの方はご存じと思いますが、配当金に関する通知が定期的に送られてきます。通知書には源泉徴収されている税額が印刷されていて、配当金額の20.315%(所得税15.315%、地方税5%)です。

一般的にはこのまま源泉徴収されて終わりなんですが、配当金の納税方法はこの他に2通りあります。細かな条件がありますが、通常の証券会社で株式を売買するようなケースはすべて選択できるようです。(詳細の条件は税理士の先生などに確認してください。)

①申告不要制度
  • 源泉徴収された状態で終了させる
②確定申告

(総合課税)

  • 配当金を他の所得と合算して、累進課税に基づき税金を計算し直す
  • B-1表左側「オ配当」欄に配当所得を記入します
  • B-1表右側「28配当控除」のところに控除金額を記入します
  • B-2表の「所得の内訳」に配当金と源泉徴収を記入します
  • B-1表右側44に上記源泉徴収合計を反映します
③確定申告

(申告分離課税)

  • 総合所得とは別に税額を計算します
  • 上場会社の譲渡損と通算できる方法
  • B-2表の「所得の内訳」に配当金と源泉徴収を記入します
  • B-1表右側44に上記源泉徴収合計を反映します
  • B-3表左側「66配当等」と「74配当分の所得金額」欄に配当金を記入します
  • B-3表右側「82配当分の税額」を反映します
  • B-1表左側「オ配当」欄に配当所得は記入しません
  • B-1表右側「28配当控除」は記入しません

①はよくわかるのですが、②と③の違いが素人にはわかりにくいです。私も結構迷いました。単に税率だけ比べると次のようになります。


税率(配当金に対する税率ということに注意)
① 20.315%
② 所得税は累進税率、住民税は10%から配当控除あり
③ 20.315%

株式の売買をせず、普通に配当金のみを受け取ったというケースは税率だけを比較し有利なのを選べば良いと思います。

ただし、②は所得税の速算表の見方が少し複雑です。配当金が50万円として、195万円以下なので5.105%ということにはなりません。

課税総所得額 税率 控除額
~195万円 5% 0円
~330万円 10% 9万7500円
~695万円 20% 42万7500円
~900万円 23% 63万6000円
~1800万円 33% 153万6000円
~4000万円 40% 279万6000円
4000万円~ 45% 479万6000円

配当所得以外に給与所得とかあるとそれと合算したものをベースにしなければなりません。例えば「この合計が600万円になりました」という場合。このケースでは20.42%の税率がかかってきます。しかし、ここで配当控除が使えます。所得税控除10%、住民税2.8%です。

結局のところ、10.42% + 7.2%が配当金にかかる税金になります。①③に比べて若干税負担が減りますね。所得合計が多ければ多いほど税率も高くなります。

ということは一定の所得水準以上の方は、総合課税を選択すると不利となるケースもあり得るわけです。

所得税速算表を見ると課税所得の金額ごとに税率が載っているかと思います。課税所得695万円までであれば税率20%以下ですが、課税所得が上がるにつれて税率は上昇していきます。

695万円超の場合、総合課税を選択すると不利となる可能性が高いです。

②については課税所得全体から率が決まってくるため、配当金のみを考えると少し難しいと思うので、全体について計算式を例示してみます。


【前提】
合計課税所得695万円(配当所得50万円+その他の所得645万円)の場合
課税所得が330万円超695万円以下の場合が該当します

★確定申告なし
① 所得税:645万 x 20.42% – 43万6477.5 = 88万613円
② 住民税:645万 x 10% = 64万5000円
③ 配当金の源泉税額:50万 x 20.315% = 10万1575円

合計①+②+③ = 162万7188円

★確定申告あり(総合課税選択・配当控除適用)
総合課税のため、配当金をその他の所得と合算して税金を計算します。

④所得税:695万 x 20.42% – 43万6477.5 = 98万2,712円
⑤住民税:695万 x 10% = 69万5000円
⑥配当控除:50万 x 12.8%(所得税控除10% + 住民税控除2.8%)= 6万4000円

合計(④+⑤-⑥)=161万3712円

確定申告をすると1万3475円、税金が少なくなりました。判断の目安は所得695万円です。特に配当金の割合が多くなるほど効果が見込まれるようです。

2019-02-26 | カテゴリー : 税金 | 投稿者 : hiro

申告方式によって住民税を安く出来るかも2

こんにちは。もうすぐ確定申告の時期です。

昨年の夏くらいに住民税の申告を別立てにすると安く出来るかも知れないという記事を書きました。

申告方式によって住民税を安くできるかも

今回はその2です。そろそろ確定申告の時期なので、新宿区のホームページを探っていたのですが、まさに該当する箇所を発見しましたのでリンクを載せておきます。タイトルもズバリ、「上場株式等の配当所得等及び譲渡所得に係る課税方式の選択について」です。

上場株式等の配当所得等及び譲渡所得に係る課税方式の選択について

この記事が同ホームページに記載されたのは今年の1月4日です。平成29年度税制改正に伴いって書かれているので昨年も同様の物があったかと思います。それにしても、この手の情報は本当に自ら探らない限りはなかなかたどり着けないものなんですよね。

ただ、謳っていることが2つあり、少し混同してわかりにくいかなって思うところがあるので、自分なりにまとめてみました。


①確定申告書の提出時期によって取り扱って貰えないことがあるもの

住民税の納税通知書送達後(だいたい5月~6月)に確定申告書を提出すると、下記が参入されない。

  1. 株式の配当所得と譲渡所得
  2. 株式の譲渡損失の損益通算及び繰越し控除
  3. 先物の損失繰越し
  4. 住宅買換えの譲渡損失や損益通算
  5. 住宅譲渡による長期譲渡所得の課税特例

参入されないってことは、つまり、国税では損失として控除された物をベースに計算されるが、住民税はその損失はなかったものとして計算されるってことですよね。

国税は還付があるのに、住民税及びそれにともなう健康保険は信じられないほど高額になるとかでしょうか。


②国税と住民税とで異なる課税方式を選択したい

上記株式の配当所得と譲渡所得についてのみが該当します。

①と違うところは、①がそもそも控除にいれれるのか?ということなのに対して、②は課税方式を別のものにできるかどうかということになります。つまり、①をすることが前提で、②をどうするかとも言うことが出来るかと思います。

平成29年度の税制改革で明確化されたのはこちらの方ですね。研究してちょっとでも住民税(というよりか国民健康保険の金額)を安くしたいものです。

2019-02-11 | カテゴリー : 税金 | 投稿者 : hiro

申告方式によって住民税を安くできるかも

こんにちは。本日も暑いですね。この3連休もとても暑かったのですが、3ヶ月ぶりに受験時代の仲間(現在はいろいろな士業に携わっています)とバーベキューを食べてきました。

いろいろ積もる話はありましたが、健康保険が高いのでどうしたらいいのかという話題がでました。ご存じのように会社勤めの方は社会保険に加入できますので、保険料は一部負担になりますが、会社勤めをやめて我々のような個人事業になると国民健康保険に加入しなければなりません。(勿論、強制加入ではないのですが、半ば強制加入といってもいいですよね!)

自治体にもよりますが、この国民健康保険っていうのが高いんです。だいたいは住民税にリンクしているということなのですが、この住民税というのはそもそも1年遅れの計算ですし、住民税の申告というのもしたこともないという代物です。

そんななか、税理士の先生から制度が少し変わったようなお話を教えて貰いましたので、自分でも調べてみました。

平成29年度税制改正で、所得税と住民税で異なる有利な課税方式を選択できる手続きが明確になったということです。(平成29年4月1日以降の住民税から適用になります。)

従前、上場株式等の配当所得や譲渡所得(特定口座で源泉徴収選択)については、

  1. 「申告不要制度」
  2. 「申告分離制度」
  3. 「総合課税」

の3つの課税方式から任意に選択することができました。これが所得税と住民税で異なる課税方式を選択することができるようになりました。

積極的に有利な方式を選択できるようになったんですね。ですが、実は以前から所得税と住民税で異なる課税方式を選択できたようなんです。そのための手続きが今回明確にされたということのようです。なんか知らない人は損する仕組みですよね。仕方がないとはいえ・・・。

これまで(私を含めた)多くの方は、所得税の確定申告書を提出するものの、住民税の申告書は提出していなかったと思います。つまり、住民税の申告書を提出していないのですが、所得税の確定申告書の提出による住民税の申告書提出みなしでした。

この場合、当然ながら上場株式等の配当所得等についても所得税と住民税で同じ課税方式が適用されています。つまりなにもやらないと自動的に住民税の申告書提出みなしとなっているということなのです。ここがキモなんです。

それが改正により、所得税の確定申告書が提出されている場合でも、市町村民税の納税通知書が送達されるまでに、これらの上場株式等の配当等につき申告不要制度を選択する旨等の住民税の申告書を提出した場合、市町村長が納税者の選択により手続きを行うことが明確になったとのことです。

だいたいこの手の納税者に有利になるような制度は積極的に発表しませんので、税理士でも知らない先生もいるってことのようです。来年から検討してみようかと思います。

自治体によっては、この住民税の申告書は国税の確定申告書よりも先に提出しなければならない、というところもあるようです。事前に自治体に確認が必要ですね。

2018-07-17 | カテゴリー : 税金 | 投稿者 : hiro

確定申告の時期が来ました

おはようございます。最近は特に仕事らしい仕事やらず、もっぱら勉強ばかりしています。仕事が入ってくれば別なんですが、やっぱり営業していないとダメなんですよね。ブログの更新も久しぶりになってしまいました。

それはさておき、確定申告の時期です。事業所得はないのですが、不動産所得があるので若干ですけど所得税がかかってきます。

今年から電子申告するときは、マイナンバーカード(昨年までは住基カード)に仕込んだ電子証明書を使ってやるのですが、カードリーダーに裏返しに差し込むってのが気付きにくいです。また差し込みが甘いと認識されません。これ結構強めに差し込まないと認識しませんでした。かなり試行錯誤してしまいました。やはりお金を払ってでも専門家である税理士に頼んだ方がいいんでしょうかね。

ところで昨年度に申告漏れがありました。年末のぎりぎりに銀行引き落としての固定資産税!これ忘れていたので、修正すれば税金が若干還付されます。

税務署に律儀に電話して確認してみました。

「修正申告必要なんですよね?」

「税金を払い過ぎているなら特に修正しなくてもいいですよ!」

まぁ税金を取る側からは、取られる側に有利になることも教えてくれないというし、当たり前と言えば当たり前なんですが・・・。結局邪魔くさいので、やめることにしました。

2017-02-27 | カテゴリー : 税金 | 投稿者 : hiro