令和元年度 宅建士試験 民法雑感2

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おはようございます。昨日に引き続いて令和元年度の宅建士試験の民法について雑感です。


第5問

無権代理は出題予想しておりましたが、判決文問題で出題されるとまでは考えてませんでした。ただ判決文問題ではあるが、判決文を読まなくても解けるような問題でした。

設問4は本人相続型です。過去問でも出題されていますし、講義を受講された方には無権代理と相続についての4パターンを詳しく説明しておりますので、比較的とっつきやすかったかもしれません。

設問1は追認拒絶した後、もう一度追認できるかという問題ですが、ここは知らなくても判決文を読み返せば判断できたかと思います。

設問3は遡って有効となりますが、こういう効果が発生する時期などは少しおろそかになる方が多いようなので、ここ間違われた方は要注意です。

設問2は、無権代理人相続パターンです。前半は本人拒絶で代理行為が無効確定してますが、後半は責任を問われますよね。

今回は判決文問題なので判決文をよく読めば正解を導け出せたと思います。ですが、設問に引きづられて、例えば設問3の後半の但し書きで迷われた受講生がいらっしゃったかも知れません。もし知識として欠けていれば押さえる必要ありますが、問題を解く、正解を導くという意味では判決文をよく読むのが重要だった気がします。


第6問

遺産分割の問題です。「預貯金債権」というキーワードが目についたので設問3から検討しました。少し前に預貯金債権も分割の対象になりましたので、押さえていた受験生は多かったのではと思います。

設問1は、遺言で禁止することができるので、ここまで読んで「×」と判断をしましたが、まだ正解肢にたどり着けない。

設問2は遺産分割協議の合意解除の問題です。合意解除はできるが法定解除はできないという有名どころなので容易に判断できたかと思います。


第7問

準占有者に対する弁済です。過去問でもそれほど出題されておらず、ここはノーマークの受験生が多かったかも知れません。

設問2と3について、受領権限がない者に弁済するとき、弁済者が善意無過失だったら有効になります。

設問4は同時履行の抗弁権の話ですが、この分野を切り出して比較検討していた受験生は判断できたと思います。

設問1は最終的に弁済されているということに気づけばなんとか判断できたかなとは思いますが、判断できなくても仕方がないかも知れません。


第8問

請負契約です。建物の場合は「解除できない」というのが何度も問われていますね。

設問4から検討しました。これは請負契約の基本なので判断できたと思います。次に短い設問は設問2。年数が出ている問題は出来れば避けたいので、設問3を検討しました。注文者のせいということなので正誤判断はできます。

設問1。解除は出来ないという知識は知っていたとしても、立替費用相当額の損賠は知らなかった受験生は多かったかも知れません。これを知らないと設問2に戦いを挑むしかなくなるのですね。

民法を勉強したが、点数を取れないという受験生はたぶん但し書きとか例外、平行してできることなどを押さえきれていないような気がします。


第9問

時効中断です。請求棄却とか取り下げでは中断しない。この問題は簡単でした。もし分からなかった受験生の方がいらっしゃったとすれば、「棄却」とか「却下」というのが具体的になんなのかを試験中に考え始め、深みに落ち込んだんだと思います。


第10問

抵当権の処分です。抵当権からは抵当権と根抵当権の比較、物上代位、抵当権の処分を予想しました。このうち順位の譲渡の計算問題が出題された形です。講義では何度か抵当権の処分について説明させていただきましたが、きちんと押さえていた受験生はこの問題は取れたと思います。

民法10問のうち大体4問くらいは取れて、肢を一つずつ検討して正解に導けくことができたのが2,3問あるという感じでしょうか。