民事信託のお話

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おはようございます。ゴールデンウィーク後半も2日目です。昨日は午前中雨だったのですが、今日は晴れていて気温も高くなく過ごしやすい日ですね。

さて、先日、家族信託の契約をしたいというお客様とお話をさせていただきました。そのとき先方から「家族信託」という言葉が出てきたので、ちょっとビックリしてしまいました。「家族信託」という言葉はテレビ番組で取り上げられたりすると少しばかり認知度が上がりますが、普段あまりなじみがない制度と思われます。

ということもあって、通常は話の流れから「家族信託」って言う制度もありますよというお話が始まるんですね。今回のケースは、父がボケる前に賃貸不動産をどうにかしておきたいということで、ご自身でもかなり勉強されている方でしたが、契約書を作成するに当たっては専門家にお願いしたいとのことでした。

実はこのようなケースがかなり多いんです。ボケつつあるのですぐ直近の将来をどうしようというケースも含めて、まずは後見制度が念頭にあがるんですね。ですが、後見人になると基本的には本人の財産を守ることが最優先となり、財産を積極的に活用するための財産の処分がかなり難しくなります。

じゃあどうするのか?ということになり、ネットなどで調べると「家族信託」という制度があることに気付かれます。この制度の概要はそれほど難しくないので、なんとなく自分が抱えている問題をうまく解決できる制度ではないかと思い至ることになります。

ですが、ここでちょっとした問題があるかもしれません。税金の問題と遺留分減殺請求を含む民事的な問題です。

税金面がどうなるのかを考えておかないと、制度に則って運用を開始したのはいいのですが、思わぬ税金を払うことになったということになります。これについては1年後、2年後レベルではなく、信託契約が終了するまでの問題なので、この分野に詳しい税理士さんの確認があった方がいいです。

そしてもう一つの問題点が、民事上の問題なんですね。民事信託の契約は委託者と受託者でできるのですが、利害関係人が絡んでくることがかなり多いと思われます。

例えば父親の持っている賃貸不動産を信託財産にして長男が受託するというケース。ごく普通にありそうなケースですが、父親がボケてしまった後にその事実を知った次男が、長男が父親をだまして自分を受託者にしたと言い出すかもしれません。受益者は父親だとしても信託の受託者として若干なりのお金が長男のところに入ったりすることもあります。父親がボケてしまっている以上、父親からそうではないという説明はできません。勿論、契約書自体は公正証書で作成しますが、やはりなんらかのケアが必要になってくるんではないでしょうか。

当事務所ではこのような問題点があることをお話させていただき、想定できるリスクを最小限になるようにお手伝いさせていただいております。