一時代表取締役と代行者(会社法351条、352条)

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おはようございます。本日は代表取締役が欠けた場合についてです。まずは条文から(端折っていますので注意)代表取締役の権利義務について書かれた箇所にあります。

一時代表取締役(仮代表取締役)

  • 代表取締役が欠けた場合、員数が欠けた場合、次の代表取締役が就任するまで権利義務を有する(351.1)
  • 代表取締役が欠けた場合、裁判所は利害関係人の申立てにより、一時代表取締役を選任できる(351.2)。登記は嘱託される(937.1.2.イ)

それでは代行者についてはどうでしょうか?

職務代行者

  • 民事保全法56条に規定する仮処分命令により選任された取締役又は代表取締役の職務代行者は、常務に属しない行為をするには裁判所の許可がいる(352.1)

ここから2つのことが読み取れます。

  • 職務代行者は仮処分命令で選任される。登記は嘱託される(民事保全法56条)
  • 常務以外の行為をするには許可がいる

一時代表取締役の場合、その代表取締役は権利義務を承継している状況です。本来取締役会などで新たに代表取締役を選任しなければならないのですが、それが行われていない場合に利害人の申立てで裁判所が選任します。

一方、代行者については、代表取締役が仮処分で職務執行停止された場合の話です。つまり、悪いことをした奴が職務停止されたので、常務(定時株主総会招集とか)を遂行する奴が必要という状況になっているということですね。

一時取締役と代行者の相違点をまとめてみます。

一時取締役

  • 権利義務承継中に利害関係人の申立てで選任
  • 登記は嘱託される
  • 職務執行制限なし
  • 後任が選任されたら役目終了

代行者

  • 仮処分で職務執行停止中に仮処分命令で選任
  • 登記は嘱託される
  • 常務に関する執行のみ可能(それ以外は裁判所の許可必要)
  • 後任が選任されても優先される

試験で注意すべきは、「一時代表取締役」と「代行者」の見分けです。わざと間違えやすくしている節が見受けられます。「一時」ではなく「仮」と書かれていたりする場合があり、「代行者」と勘違いしてしまいます。特に「代行者」は「仮」処分命令で選任されますので間違わないように注意してください。