株式引受けの無効、取消し制限について

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おはようございます。本日は株式の引受け無効と取消し制限についてです。まずは条文(かなり端折ってますので注意してください)

株式の引受けが想定される場面としては、設立時及び募集株式の発行の場面があります。

設立時(発起人)

  • 設立時発行株式の引受けにかかる意思表示について、民法93条但し書き(心裡留保)、94条1項(虚偽表示無効)は適用しない(51.1)
  • 発起人は、成立後は錯誤を理由として引受け無効を主張できない、また詐欺強迫を理由として取消しできない(51.2)

設立時募集株式の引受人については別の所に条文があります。

  • 設立時募集株式の引受けにかかる意思表示について、民法93条但し書き(心裡留保)、94条1項(虚偽表示無効)は適用しない(102.5)
  • 設立時募集株式の引受人は、成立後又は創立総会等で議決権を行使した後は錯誤無効を主張できない、また詐欺強迫を理由として取消しできない(102.6)

上記が会社設立時に関するものでしたが、実際に会社が軌道に乗って募集株式の発行をする状況になるとどうでしょうか?

  • 募集株式の引受の申込みにかかる意思表示について、民法93条但し書き(心裡留保)、94条1項(虚偽表示無効)は適用しない(211.1)
  • 募集株式の引受人は株主になった日から1年を経過した後、または権利行使した後は錯誤無効を主張できない、また詐欺強迫を理由として取消しできない(211.2)

ここで民法の意思表示のところではおなじみの制限行為能力というのがでてきていないことに気付くと思います。つまり制限行為能力による主張は可能であるということです。

試験に出されそうなポイントは3点あります。

  • 会社設立時は1年という猶予がない
  • 錯誤と詐欺強迫のみ不適用条件があり(すべての条文で心裡留保、虚偽表示は一律不適用)、しかも条件が微妙に違う
  • 制限行為能力は適用

特に2番目要注意です。