おはようございます。今日は株式会社の訴えの代表者に誰がなるのかについてまとめてみます。
訴えには外部との関係、内部者との関係の2種類があり、一般的に対外的には代表取締役が会社を代表します。これはわかりやすいですね。
では会社 vs 取締役となった場合はどうでしょうか?
一般的に取締役同士は仲間内なので本格的に敵対するのは困難であると会社法は考えているようです。そこで、監査役がある場合は監査役が会社を代表します(386.1)。監査役がなければ代表取締役になります(349.4)が、八百長になる可能性もあるため、代表者を取締役会(なければ株主総会)で定める(353, 364)という順になっています。
一般的にはこれでいいのですが、監査等委員会設置会社(以下、監査委会社)あるいは指名委員会等設置会社(以下、委員会会社)の場合はどうなるのでしょうか。
監査委会社あるいは委員会会社の場合
会社 vs 第3者の場合
会社を代表するのは選ばれた監査委員(399-7.1.2, 408.1.2)となります。監査委会社の場合、代表取締役がいるので代表取締役が会社を代表しそうですが、ここでは出てきません。いうなれば監査役がある会社と同じ扱いになります。
委員会会社の場合は代表執行役がいますが、そもそも代表執行役(執行役)は取締役会で選ばれることになっているので、取締役である監査委員が代表するのはなんとなくわかります。
会社 vs 取締役の場合
会社を代表するのは選ばれた監査委員となります。これは一般的な会社からのスライドを考えればわかりやすいです。ただし、監査委員は取締役でもあるわけで、訴えの当事者となる場合もあります。その場合はどうするのか?
第3者に対する場合と同様に、代表取締役とか執行役がはまりそうですが、そうではありません。代表者を取締役会または株主総会で定める(399-7.1.1, 408.1.1)ことになっています。第3者に対する場合にも代表しない者が内輪の揉め事に対してもなり得ないということですね。
監査委会社は実際にも増加傾向とのことです。(因みに委員会会社は制度的に失敗とみられています。そのため利用者が少なく、監査委会社という枠組みの誕生になりました。)
試験でも監査委会社は要注意です。一般的な株式会社だと差が付かないし、「株式会社に対する次の設問云々」という問題では、特に「○○委員会設置会社は除外」という文言でもない限り、監査委会社、委員会会社は含まれます。